医療の質の確保のためのコアとなる職種横断的資質に関する研究

文献情報

文献番号
200401062A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の質の確保のためのコアとなる職種横断的資質に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
平尾 智広(香川大学 医学部・医療管理学)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院)
  • 長谷川 友紀(東邦大学 医学部 公衆衛生講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
人的資質の向上は医療の質の確保のためには必須のものである。本研究では、1.わが国の医療の質の確保のために必要なコアとなるコンピテンシーを明らかにし、2.それに基づいたわが国の現状を把握し、3.段階的かつ継続的な教育モデルを構築し、4.その推進方法、評価方法を提案する。
研究方法
本年度は上記1、2について研究を行った。
・情報の収集とコア・コンピテンシー案の作成
医療界、ビジネス界を含めたコンピテンシーの定義と概念、コンピテンシーに基づいた教育(CBET)の基本的考え方、IOM、ACGME等の国外先進機関の資料分析を行った。特に「Health Professions Education」等、重要資料については抄訳を作成した。さらに国外先進機関の一部(AHRQ、IOM、VHA等)については、関係者の面接調査を行なった。また国外先進機関とわが国の卒前、卒後初期研修のコンピテンシーの対応表を作成した。これらをもとに少人数の専門家による会合を行い、わが国のコア・コンピテンシー案を作成した。
・現状の把握
作成したコンピテンシー案に基づき、全医科系大学の卒前・卒後初期教育のシラバスからキーワードを検索し外形評価を行った。また日本医師会生涯教育カリキュラムリスト、主要学会の専門医、指導医カリキュラムについても同様の手法で外形評価を行った。
結果と考察
・医療の質確保のためのコア・コンピテンシー
コア・コンピテンシーは“患者中心の医療の提供”を頂点とする階層構造となっており、これを行なうために、「プロフェッショナリズム」、「コア技術・知識」、「コア能力」、「経験」を総合的組み合わせることと考えられた。(コア技術・知識…医学知識、基本手技、ITの活用、英語文献読解、コア能力…根拠に基づいた医療の実践、質改善技術、コミュニケーション、チームとして協働)
・わが国の現状
卒前・卒後初期教育ではキーワードは概ねカバーされていたが、IT、質改善技術、チームについての内容が少なかった。特に卒前教育においては、最近の医学教育のポイントである多職種合同教育はなされていなかった。生涯教育は主に医学知識が主体で、コア・コンピテンシーについては記載がなかった。
結論
医療の質の確保のため必要な職種横断的コンピテンシー案を作成した。これに基づいた外形評価では、部分的なコンピテンシー教育は行われているが、系統だったCBETはあまり行われていない。

公開日・更新日

公開日
2005-07-22
更新日
-