医療安全を考えた産科施設の安全と質に関する研究

文献情報

文献番号
200401056A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全を考えた産科施設の安全と質に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
杉本 充弘(日赤医療センター(産婦人科))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の医療訴訟で産科が占める割合は全体の1/3といわれる。また出産場所も大病院から診療所、助産所と領域が広く妊娠期から産褥期における医療レベルの差に対する問題も大きい。本研究では、医療事故を防止し、利用者ニーズに応じた快適性の高い産科医療を提供するために、妊産婦を対象にしたモデル事業に取り組んだ。特に、助産師業務を中心にしたオープンシステムのマニュアル作成と安全で満足度の高い産科施設を増やしていくことを目的とし、具体的には、開業助産師と病院のオープンシステムを構築する。
研究方法
研究期間は、平成16年5月から平成17年3月である。
モデル事業は、開業所助産師と病院との連携を密にし、病院で「より家庭的で安全な出産」のあり方を模索するものである。本年度は、開業助産師とのワークショップを持ち、安全性と快適性の高いお産のあり方について議論を深め、その経過からモデルを設計した。モデルは、 開業助産院に受診している妊婦を対象とするモデルⅠと、病院助産師の訪問よる健診を受ける妊婦を対象とするモデルⅡを実施する。対象者は約20名の妊婦である。
結果と考察
モデル事業によるオープンシステムを利用した出産を5件終えた。この5件の経過から、モデルⅠの対象者にとってのメリットは病院での出産時に開業助産師が立ち会あえることであり、モデルⅡの対象者には在宅で訪問健診を受けられるというメリットがあった。一方、病院助産師にとっては、開業助産師の技術を学ぶという成果があり、モデルⅠ、Ⅱの実施後の評価は、助産師も利用者も満足度が高かった。
現状の課題として、利用者および開業助産師に対する料金設定の見直しが生じた。特に、モデルⅠにおける費用設定では、病院で採用されている包括料金との整合性上の問題が生じた。これについては、料金設定の見直しを再度行い利用者に対する医療処置加算と開業助産師への病院内労働時間料金の設定を行い対処した。
結論
本年度はモデル事業の経過途中であり、出産・分娩・産後のケアについて評価ができないが、5例の出産を終えての評価では、利用者には好評であり、事業に参加している助産師も、新たな助産活動への期待が高まっている。本事業については、本年度も継続して実施するものであり、地域のセンター病院と助産院の連携という新たな産科医療サービスのあり方を構築するモデルにつなげたい。

公開日・更新日

公開日
2005-07-11
更新日
-