脆弱高齢者・終末期患者への診療に関する判断、および診療行為の質の評価と改善に関する研究

文献情報

文献番号
200401052A
報告書区分
総括
研究課題名
脆弱高齢者・終末期患者への診療に関する判断、および診療行為の質の評価と改善に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
尾藤 誠司(独立行政法人国立病院機構東京医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 浅井 篤(京都大学大学院 医学研究科医療倫理学)
  • 木澤 義之(筑波大学附属病院総合診療グループ・医療福祉支援センター)
  • 竹村 洋典(三重大学医学部附属病院総合診療部)
  • 平 憲二(京都大学医学部附属病院総合診療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脆弱高齢者、重症患者および終末期患者に対する医療行為の中で、その判断が最も悩ましいものは、いわゆる“延命治療”に関連するような医療行為についての判断である。これらの判断を行う必要がある状況はきわめて一般的なものであり、その医療プロセスの質は一定の標準を保持する必要がある。しかしながら、これらのプロセスは標準的かつ現実的な指針を持たないために大きくばらついている可能性がある。本年度の研究では、“延命治療”に関連する悩ましい判断について、その根拠を明らかかにすることを目的とした。
研究方法
研究方法は、大きく分けて3つの方法をとった。
①患者家族を対象としたグループインタビューもしくは個人面接法を通しての質的調査
②文献的なリソースを用いた2次調査
③医師を対象としたインターネット調査を中心とする量的調査 
調査の内容は、困難な意思決定を行う際に医療者が探索し評価する情報や、患者や家族が探索し評価する情報について、情報の伝達とコミュニケーションについて調査した。さらに現時点での文献的、倫理的、法的根拠についてのまとめを行った。
結果と考察
①生命維持を目的とした治療行為に対して患者の尊厳や患者の苦痛を思いやる一方、家族として医療の退避を宣言することには大きな抵抗が見られ、そこに判断のジレンマがあるようであった。また、具体的な治療法についてのイメージがわきにくいことから、判断の根拠として医学的な状態を想定することが困難であった。
②過去の研究結果の多くは観察研究であり、質評価項目作成に対する基礎的なエビデンスのまとめを完了することができた。
③同一のシナリオに関する判断においても、医師が「すべきである」と考える行為には大きなばらつきがあった。また、特定の医療行為に対して、それが“延命治療”の範疇に入るものかについても医師の間で大きなばらつきが見られた。
結論
16年度の研究は17年度からの医療技術評価の本格始動にむけての布石となるものであり、準備的な研究であった。一方、倫理的に大きなジレンマを含む問題に関して多くの基盤的な情報を本年度得ることが出来、本格的に医療の質評価と改善への計画の見通しを立てることができた。今回の成果をもとに当研究班のQuality indicatorsが作成される予定である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-05
更新日
-