手術成績予測法を用いた外科治療質改善システムの開発

文献情報

文献番号
200401051A
報告書区分
総括
研究課題名
手術成績予測法を用いた外科治療質改善システムの開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
二村 雄次(名古屋大学大学院医学系研究科病態外科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 里見 進(東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座)
  • 西岡 清(横浜赤十字病院)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 朔 元則(独立行政法人国立病院機構九州医療センター)
  • 櫻井 芳明(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター)
  • 武澤 純(名古屋大学大学院医学系研究科生体管理医学講座)
  • 谷 徹(滋賀医科大学医学部外科学第一講座)
  • 高本 眞一(東京大学大学院医学系研究科臓器病態外科学講座)
  • 小川 修(京都大学医学部泌尿器科学教室)
  • 吉峰 俊樹(大阪大学大学院医学系研究科神経機能制御外科学講座)
  • 芳賀 克夫(独立行政法人国立病院機構熊本医療センター)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部公衆衛生学教室)
  • 平尾 智広(香川大学医学部衛生・医療管理学)
  • 石田 達樹(東京医科歯科大学医歯学教育センター)
  • 石川 雅彦(国立保健医療科学院政策科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
最近では質の高い医療を求める動きが急展開しているが、その中でも特に良質で安全な外科治療に関する要求が顕著である。本研究は日本外科学会が研究プラットフォームの中心となり、手術成績に関する標準モデルを確立し、外科手術の質改善のシステム作りを目的とする。
研究方法
ア.既存文献レビュー及び専門家パネルによる対象疾病及びリスク調整因子の同定と選択、イ.国内外における外科治療成績質改善研究・事業の先駆的事例として、米国退役軍人省事業及びイギリスで開発された世界で最初の外科技術評価法であるPOSSUMに関するレビュー、さらにはウ.既存統計資料を用いた日本の手術の動向に関する分析、エ.リスク調整方法に関する文献レビューを行った。
結果と考察
ア.文献考察及び専門家パネルにて評価に十分な症例数があり、社会的重要性が高い1疾患及び8術式が選択された。また対象毎のリスク調整因子が同定され調査票の精緻化が行われた。イ.退役軍人省の類似事業では、質改善プログラムのシステム化及び改善へ向けた具体的プログラムが確認され、本研究への応用可能性が示唆された。ウ.日本のデータでPOSSUMにて予測した場合、予定手術では手術リスクに関わらず過大推定する傾向が確認された。緊急手術では、low risk手術は過大推定するが、high risk例では比較的正しく予測していた。エ.手術回数は減少すると推計されたが、手術患者の高齢化が確認され外科治療の難易度が上がることが示唆された。オ.特に多施設共同研究の場合、収集したデータの質について吟味する必要があることが示唆された。本研究では以下の点で検討課題を残している。ア.本研究で選択した各疾病・術式のモデルの妥当性を検証する必要がある。イ.患者高齢化により手術難易度が上がることが予測されるため、患者リスクの相対的危険度を推定する必要がある。ウ.POSSUMの予測死亡率をそのまま我が国に当てはめるのは早急であると考えられる。またその他のモデルに関しても治療成績予測モデルの妥当性及びリスク調整因子の影響について既存研究結果と比較した上で採用する必要がある。
結論
各種学会や教育病院を介した相互的な質の比較の最初の試みであり、DPCデータを基にリスク調整要因を加味したアウトカムの比較が可能である。今後はデータ収集と各施設における統計分析による手術アウトカムの改善点が示唆されることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-