政府の役割と質・安全・公平から見た地域医療システム運営の評価手法と改善誘因の研究

文献情報

文献番号
200401036A
報告書区分
総括
研究課題名
政府の役割と質・安全・公平から見た地域医療システム運営の評価手法と改善誘因の研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部)
  • 平尾 智広(香川大学医学部)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学院医歯学総合研究科)
  • 松田 晋哉(産業医科大学医学部)
  • 木嶋 恭一(東京工業大学院社会理工学研究科)
  • 工藤 裕子(早稲田大学教育学部)
  • 吉田 忠彦(近畿大学商学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は地域医療体制をシステムとして捉える視点を導入し、投入(資源)ではなくの産出(結果)を重視して経営や統制(management & control)のあり方を模索するものである。構造をモデル化し、システムの活動を評価し、その評価を保険制度や情報など誘因(incentive)に結びつけることで改善を目指す。
研究方法
病床分析-必要病床数の算定に当たり、急性期と長期とに病床を分けてそれぞれの算定を行いこれまでの必要病床数並びに既存病床数との比較を行った。
参加型計画研究-戦後政策過程への住民参加の動向について調査・分析、加えて具体的実例により合意形成プロセスを調査した。
インセンティブ研究-現行の医療計画を理論的に検討し、その問題点を明らかにした。
疾病管理研究-プライマリケアを担う医師の資質研究、各疾病については喘息、糖尿、乳がん、精神について自然史(シナリオ)を作成し、必要とされる資源を同定することでシステム評価のための指標の作成を試みた。
医療のIT化-文献レビューによりIT化の意義を検討した。 
結果と考察
病床分析-全国の必要急性期病床の推計結果は54万床-59万床。長期は「引き算方式」で39万-45万床「掛け算方式」で79万-94万床「横断方式」では28万-44万床。
参加型計画研究-参加要望の興隆、専門家と非専門家のコミュニケーションの重要性や、NPOの可能性などが展望された。
インセンティブ研究-医療計画の内容は,「病床規制を目的とした部分」と,「地域医療のシステム化等を目的とした部分」に分けられ、医療機関の行動の自由を前提とすると,医療計画の内容のうち後者の初期目標が達成される可能性は小さい。  
疾病管理研究-プライマリケアでは、重視される医療技術として全科目の知識・技量や、ある程度の専門性の確立等が挙げられた。各疾病管理研究では、喘息10、糖尿11、乳がん11、精神19の指標を算出、それらを都道府県レベルで評価することの可能性を検証した。                 
医療のIT化-医療過誤を回避するのに役立つ、コスト削減、医療の質改善の3利点が明らかになった。
結論
供給体制システム構築に際し、地域差を配慮すべきと考えられる。インセンティブの導入も重要な課題として指摘された。また、マクロレベルのシステムのみならず、医療の質・安全の期待には、組織レベル、即ちミクロレベルのシステムである医療機関のマネジメントを、ITを生かした効率化などで刷新する必要性があることが明らかになった。
次年度以降も、以上の論点をさらに推し進めた研究を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2005-07-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-