諸外国における院内感染対策の応用に関する研究

文献情報

文献番号
200401035A
報告書区分
総括
研究課題名
諸外国における院内感染対策の応用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
芳賀 克夫(国立病院機構 熊本医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 修(国立病院機構米子医療センター)
  • 竹内 仁司(国立病院機構岩国医療センター)
  • 古谷 卓三(国立病院機構関門医療センター)
  • 洲之内 廣紀(河北総合病院)
  • 木村 正美(健康保険人吉総合病院)
  • 石川 正志(徳島赤十字病院)
  • 針原 康(NTT東日本関東病院)
  • 木山 輝郎(日本医科大学)
  • 草地 信也(東邦大学医学部付属大橋病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班の目的は、米国を初めとする諸外国で行われている院内感染対策法が、我が国でも有効であるか否かを検討することにある。現在いくつかの無作為比較試験を行っているが、これらの結果を得るには今暫くの時間が必要であるので、本年度は、主任研究者が米国の病院を視察した際に得た知見を基に、日米に於ける院内感染対策の実施状況の差異と、その要因について報告する。
研究方法
平成17年1月に米国ロサンゼルス郡にある南カリフォルニア大学附属病院、ロサンゼルス郡立病院、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)附属病院を訪れ、院内感染対策法の実際を視察した。
結果と考察
上記3病院で共通していたことは、CDCが発表したGuidelines for Isolation Precautions in Hospitalsで述べられている標準予防策と感染経路別予防策を徹底して実践していることであった。これらの3病院では、感染経路別に予防策を示した共通のステッカーを使用していた。つまり、接触感染予防策を要する時には緑色、飛沫感染予防策を要する時には黄色、空気感染予防策を要する時には赤色のステッカーを、当該患者の病室のドアに張り、医療従事者や清掃業者、患者および家族、訪問者に必要な対策法を明示し、その実施を徹底していた。
米国で標準予防策を初めとする院内感染対策が徹底して行われている背景には、病院評価機構であるJCAHO (the Joint Commission on Accreditation of Healthcare Organizations) の存在が大きく関わっている。UCLAの感染症専門医師によると、米国の病院は、上記の院内感染対策を実施していないと、JCAHOの抜き打ち監査で指導を受け、悪質な場合は、研修病院の認定の取り消しや、救急救命センターの閉鎖を命ぜられることがあるとのことであった。従って、どこの病院であっても、隔離予防策を遵守するとのことであった。
結論
米国では、ガイドラインに述べられている隔離予防策が広く普及しており、また、JCAHOが抜き打ち監査を行うことにより、その実施を監視している。その結果、ディスポ製品を惜しみなく使う院内感染対策法が標準的に実施されていると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-07-22
更新日
-