臨床指標を用いた医療の質向上に関する国際共同研究

文献情報

文献番号
200401024A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床指標を用いた医療の質向上に関する国際共同研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西岡 清(横浜赤十字病院)
  • 武澤 純(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 石川 功(社会保険群馬中央総合病院)
  • 斉藤 英彦(国立名古屋病院)
  • 飯田 修平(練馬総合病院)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部)
  • 平尾 智広(香川大学医学部)
  • 佐藤 敏彦(北里大学医学部)
  • 杉浦 伸一(名古屋大学医学部付属病院)
  • 石田 達樹(東京医科歯科大学医歯学教育センター)
  • 加藤 尚子(国際医療福祉大学医療福祉学部)
  • 佐藤 康仁(東京女子医科大学医学部)
  • Jonathan Brian Perlin(Department of Veterans Affairs, Veterans Health Administration)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年の相次ぐ医療事故を背景とし、医療の質に施設間格差があることが広く認識されつつある。本研究は、医療の質を構成する三側面、「良質」「安全」「満足」のそれぞれについて臨床指標を開発し、測定し、参加施設へ還元することを通して医療の質の向上を図ることを目的とする。本年度は国立病院153施設、日赤病院47施設、労災病院34施設、国立大学42施設、私立大学3施設、自治体病院9施設の協力を得た。
研究方法
本研究では上記3側面の概念的整理を行い、整理された概念及び国内外の臨床指標の先駆的事業を基に臨床指標を開発し、測定し、評価した。具体的には「質」はDPC及び手入力データを用いた臨床指標、「満足」については外来・退院患者を対象とする自記式調査票、「安全」については職員の意識調査票を作成し、実施評価を行った。
結果と考察
Ⅰ.総論①1臨床指標の構造と概念-医療機関の経営の重点は資源の効率的利用に置かれているが、算出には医療の安全、質、満足が含まれる。②リスク調整方法-影響要因をリスク調整したモデルの予測値と観測値の比率を用いた評価方法の有用性が確認された。
Ⅱ.方法論①各臨床指標の開発-「良質」「安全」「満足」の各測定指標及びツールが開発された。②総合指標開発研究-産出/投入分析の手法を用いて評価することが有用と思われる。⑤公的病院の役割研究-各設立主体で臨床指標の開発、評価のために有用と認識されていた。
Ⅲ.分析①臨床指標評価分析-胆石症再入院率、院外処方箋発送率、退院時服薬指導件数等についてグループ間で統計的に有意な差が確認された。②患者属性の影響要因分析-学歴と年齢との交差項で有意に負の影響が認められ、学歴が高いほど医療サービスに対する評価が厳しいことが示唆された。③安全関連-ⅰ)顧客満足とヒヤリハット報告数の関連分析-患者満足度と職員満足度の間には有意な相関がみられた。ⅱ)患者安全文化の現状診断及びインシデントレポートとの関連-「患者安全を最優先事項とした経営活動」等が低い傾向がみられた。ⅲ)医療事故発生時の説明-医療事故についての知識不足や認識の違い、医療従事者の実際の説明と患者が望む説明とのギャップなどが確認された。
結論
今後上記3側面の構造的関係を考察し、明らかにする必要がある。また、測定した結果の効果的な還元方法について国内外、産業界の蓄積を基に検討し、実践し、その結果を評価する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-07-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-