諸外国における医療情報の標準化の動向に関する研究

文献情報

文献番号
200401013A
報告書区分
総括
研究課題名
諸外国における医療情報の標準化の動向に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学医学部公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 飯田 修平(全日本病院協会)
  • 柳川 達生(練馬総合病院)
  • 細谷 辰之(名古屋大学)
  • 対馬 忠明(健康保険組合連合会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現行の医療制度改革では、医療の透明性・説明責任・質の確保が最大の論点であるが、IT化は有力な解決方法として注目される。本年度は、IT導入例として診療情報標準化とレセプト電子請求(EDI)を対象とし、諸外国の事例研究と日本の制度検討を実施した。
研究方法
諸外国の事例研究では、政策目標における医療情報IT化の位置づけ、標準化・電子化の状況、使用規格、セキュリティー確保の方策、法制、EDIの状況と影響について現地調査と関係者のヒアリングを実施した。国内の制度検討は、医薬品業界、審査支払機関、日本医師会等関係者のヒアリング、専門家パネルによるステーキホルダー分析により、標準化・電子化促進の課題を検討した。
結果と考察
韓国は、日本と医療制度や診療報酬支払制度が類似しており、医療制度改革が進んでいる。EDIを1996年に導入し、大統領のリーダーシップ、システム開発、各種のインセンティブが有効に機能したため、6年間で全レセプトの80%で実施されるに至った。また審査支払機関では大部分をコンピュータ上での審査・支払が実現したことでアウトライアーに焦点をあてた審査が可能となり、病院でも診療内容の正当性を主張するドキュメント作成に注力するようになった。現在は支払データの一般公開、二次利用の促進が試みられている。豪州では、支払いは公的病院と私的病院で異なるが、大部分は電子化され、EDI運営会社も複数存在し競争環境にある。審査支払は民間保険会社が実施し、コンピュータ上でのデータ管理やセキュリティーシステムが種々実施されている。米国では、HIPAAにより医療IT化が促進した。大統領によるEHR構想発表後、次々と大型投資計画が発表されている。英国の地域ベースIT化計画、カナダの医療情報標準化の試みも、政府の役割に重要な示唆を与える事例である。日本では、各関係機関で取組みに温度差がある。自治体独自の医療保障、IT化戦略策定担当部署がないこと、制度間での齟齬が問題である。また審査支払機関の現状は効率的にも問題があり、科学的データに基づく医療政策決定、医療機関経営の妨げとなる。各国の知見を基に検討する必要がある。
結論
医療の質向上に、IT化と質関連の支払方法の導入・開発は不可欠である。IT化には、政府の役割が大きい。諸外国では、政府の役割が発揮されるときに関連組織も大規模なIT計画を発表し、IT関連投資が増加することでIT化が促進した。医療のIT化促進には政策目標での位置づけを明確にすることが重要である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200401013B
報告書区分
総合
研究課題名
諸外国における医療情報の標準化の動向に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学医学部公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 飯田 修平(全日本病院協会)
  • 柳川 達生(練馬総合病院)
  • 細谷 辰之(名古屋大学)
  • 対馬 忠明(健康保険組合連合会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療技術の成熟化、消費者意識の効用を背景に、医療の質に対する関心の増大は世界的な趨勢となっている。医療の透明性、説明責任を確保し、医療の質を向上させるためにはInformation Technologyの医療への導入は不可欠である。本研究では、IT技術の医療への導入例として、診療情報の標準化、及びこれを基にしたレセプト電子請求を対象として、(1)韓国、豪州、米国、英国、カナダの事例研究、(2)日本における制度検討、を実施した。
研究方法
事例研究では、政策目標における医療情報IT化の位置づけ、標準化・電子化の状況、使用規格、セキュリティー確保の方策、法制、EDI(電子請求)の状況と影響について現地調査と関係者のヒアリングを実施した。国内の制度検討は、医薬品業界、審査支払機関、日本医師会等関係者のヒアリングにより、標準化・電子化促進の課題を検討した。
結果と考察
韓国は、日本と医療制度が類似しており、医療制度改革が進んでいる。EDIを1996年に導入し、大統領のリーダーシップ、システム開発、各種のインセンティブが有効に機能したため、6年間で全レセプトの80%で実施されるに至った。請求情報の電子化にともない、審査支払機関における審査方法、病院での請求事務が大きく変わったほか、事務の効率化をもたらした。2004年からは支払データの一般公開、二次利用の促進が試みられている。豪州においても請求の大部分は電子化され、インターネットを利用して行われている。EDI運営会社も複数存在し競争環境にある。審査支払は民間保険会社が実施し、コンピュータ上でのデータ管理やセキュリティーシステムが種々実施されている。米国では、HIPAAにより医療IT化が促進した。大統領によるEHR構想発表後、次々と大型投資計画が発表されている。英国の地域ベースIT化計画、カナダの医療情報標準化の試みも、政府の役割に重要な示唆を与える事例である。日本では、各関係機関で取組みに温度差がある。自治体独自の医療保障、IT化戦略策定担当部署がないこと、技術的問題よりも制度間での齟齬が問題である。また審査支払機関の現状は効率的にも問題があり、科学的データに基づく医療政策決定、医療機関経営の妨げとなっている。
結論
医療の質向上に、IT化と質関連の支払方法の導入・開発は不可欠である。IT化には、政府の役割が大きい。先進事例の検討では、政府の役割が発揮されるとともに関連組織も大規模なIT計画を発表し、IT関連投資が増加することでIT化が促進した。医療のIT化促進には政策目標での位置づけを明確にすることが重要である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-19
更新日
-