高齢者に対する口腔ケアの方法と気道感染予防効果等に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200400999A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者に対する口腔ケアの方法と気道感染予防効果等に関する総合的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 英忠(東北大学医学部老年・呼吸器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 三宅 洋一郎(徳島大学歯学部口腔細菌学講座)
  • 植松 宏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 橋本 賢二(浜松医科大学医学部歯科口腔外科学講座)
  • 米山 武義(米山歯科クリニック)
  • 菊谷 武(日本歯科大学歯学部附属病院口腔介護リハビリセンター)
  • 深井 穫博(深井歯科医院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は「国民のための口腔ケアはどうあるべきか」という視点のもと、施設、病院における適切な口腔ケア導入のあり方と高齢者及び易感染性宿主等の健康を維持する上で、大きな課題となる口腔ケアの効果をより高める指針を得る事にある。口腔ケアの誤燕性肺炎に対する予防効果の行為別寄与度を明らかにし、口腔ケアが高齢者及び易感染性宿主における気道感染予防のみならず精神的な落ち込み、認知機能の改善に関連している可能性が指摘されているので、その効果を検証する。
研究方法
分担研究者6名による研究。
結果と考察
本研究では、咀嚼機能や嚥下機能に重要な舌機能、口唇機能の加齢変化や機能不全に関する問題について検討した。特に口唇機能について注目し、その加齢変化は緩やかであるが、機能障害が見られた時、生命予後にも関与する事が示された。さらに介護の重症化との関係も認められたことから、機能訓練等による機能の維持の必要性が示された。口腔ケアを通して、口腔内の環境を維持する事により、歯の保存状態が保たれ、嚥下反射や咳反射に良い影響を与え、低栄養にもつながり、このことが総合して生命予後に影響する事が、一連のエビデンスとして明らかになった。
結論
1.全身への影響のひとつとして、痴呆症に対して有意の改善が見られた。2.病院の中で口腔ケア、特に専門的な口腔ケアの意義について一つの細菌学的な裏付が得られつつある。3.口腔乾燥症に対して、ヒアルロン酸を用いた洗口剤の効果が認められた。4.口唇機能について、その加齢変化は緩やかであるが、機能障害が見られた時、生命予後にも関与する可能性が示唆された。さらに介護の重症化との関係も認められた。よって、介護の重症化と生命予後の安定化には口腔機能を維持する事が重要である事が示された。5.高齢者の歯の保存状態(歯数)は、特に後期高齢者の生命予後に与える影響因子の一つに成り得る事が示された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200400999B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者に対する口腔ケアの方法と気道感染予防効果等に関する総合的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 英忠(東北大学医学部老年・呼吸器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 三宅 洋一郎(徳島大学歯学部口腔細菌学講座)
  • 植松 宏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 橋本 賢二(浜松医科大学医学部歯科口腔外科学講座)
  • 米山 武義(米山歯科クリニック)
  • 菊谷 武(日本歯科大学歯学部附属病院口腔介護リハビリセンター)
  • 深井 穫博(深井歯科医院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
極めて日常的な口腔機能を保つための口腔ケアが、どのように体の障害を保護してくれているかを、総合的に研究する事を目的とする。
研究方法
分担研究者6名による研究。
結果と考察
口腔ケアが脳を刺激するとすれば、アルツハイマー病(Alz)の認知機能の改善に有効ではないかと考え、口腔ケアによる認知機能(MMSE)の変化を一年間追跡した結果、ドネペジフルの薬剤効果とほぼ同等であった。口腔衛生に普段から気を配り、肺炎も起こさず、認知機能も低下させないように口腔ケアをしている人は、高齢まで長寿でいられることが、世界で初めて本研究によって証明出来た。
結論
加齢と共に口腔衛生は劣悪になる事が欧米でも指摘され、世界共通の認識となっているが、口腔ケアにより、口腔の細菌のコントロールに裏付けられた気道感染予防をはじめ、栄養状態の改善、認知機能の改善、さらに生命予後にまで良い結果をもたらす成績が総合的に出された。口腔ケアの全身への影響が、増増強調されたと言える。口腔ケアの必要性と効果についての有意の成績が得られた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-