医療効果・経済効果を目的とした遠隔病理診断の実用化とこれに関する次世代機器の調査・開発

文献情報

文献番号
200400987A
報告書区分
総括
研究課題名
医療効果・経済効果を目的とした遠隔病理診断の実用化とこれに関する次世代機器の調査・開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
澤井 高志(岩手医科大学医学部病理学第一講座)
研究分担者(所属機関)
  • 井藤 久雄(鳥取大学医学部器官病理学)
  • 黒瀬 顕(岩手医科大学医学部病理学第一講座)
  • 小林 紘一(慶應義塾大学医学部呼吸器外科)
  • 谷田 達男(岩手医科大学医学部呼吸器外科)
  • 土橋 康成(財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター臨床病理研究部)
  • 東福寺 幾夫(高崎健康福祉大学健康福祉学部医療福祉情報学科)
  • 長谷川 高志(東北大学先進医工学研究機構)
  • 古谷 敬三(愛媛県立中央病院病理部)
  • 吉見 直己(琉球大学医学部病態解析医科学講座腫瘍病理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遠隔病理診断(テレパソロジー)の普及促進を目標に以下の3点を検討した。
1)ITの進歩に伴い、大容量の通信手段に合わせたテレパソロジーシステムの開発。内容的には、a) 光ファイバーによる動画システム導入、b) インターネットを利用して個人間で行うシステムの開発であった。2)テレパソロジーの有料化あるいは保険医療における料金導入を目的としたテレパソロジーの医療効果、経済効果についての分析。3)テレパソロジーにおけるセキュリティー、バーチャルスライドなど周辺環境の整備の検討。
研究方法
1)ITの進歩をテレパソロジーに応用する目的で民間と共同で光ファイバーによる動画の開発を行い、さらに個人間でインターネットを利用して行うソフト開発も行った。2)テレパソロジーの普及のために、医療、経済効果の面から市民を対象にアンケート調査をおこなった。3)肺癌手術におけるテレパソロジー利用の医療効果、経済効果を検討した。4)血液、移植医療、細胞診の分野などテレパソロジーの拡大を検討した。5)テレパソロジーにかかる経費について算定した。6)セキュリティーに関する問題を検討した。
結果と考察
今年度の大きな成果は、民間との共同で光ファイバー/動画、あるいはインターネットを利用したテレパソロジーシステムの開発に成功したことであり、ITの進歩とともにますます高速大容量によるシステム開発が進むものと思われる。一方、国がe-Japan構想を唱え、且つ臨床、病理、機器メーカー、一般市民すべての階層がテレパソロジーによる迅速診断に賛成しており、また、いくつかの分野でも利用の拡大が望まれているのに伸び率が悪いのは、経済原理につながらない結果であり、今後、規制緩和を含めた検討が必要である。
結論
テレパソロジーは診断病理医の不足を補うために開発された優れたシステムであり、現在、地域医療に大きく貢献している。今後、ますますテレパソロジーが普及するにはITの進歩を取り入れながら簡単な操作で性能の優れた機器の開発を行うとともに、料金制度の導入、医療分野における伝送料金の割引など医療制度を整備してテレパソロジーが普及する環境を官民協力して作りあげていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-05
更新日
-