外来がん化学療法における看護ガイドラインの開発と評価

文献情報

文献番号
200400981A
報告書区分
総括
研究課題名
外来がん化学療法における看護ガイドラインの開発と評価
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小松 浩子(聖路加看護大学(看護学部))
研究分担者(所属機関)
  • 外崎 明子(聖路加看護大学(看護学部))
  • 林 直子(聖路加看護大学(看護学部))
  • 操 華子(聖ルカ・ライフサイエンス研究所(聖路加国際病院)臨床実践研究推進センター)
  • 射場 典子(聖路加看護大学(看護学部))
  • 飯岡 由紀子(聖路加看護大学(看護学部))
  • 村上 好恵(聖路加看護大学(看護学部))
  • 松﨑 直子(聖路加看護大学(看護学部))
  • 冨田 美和(聖路加看護大学(看護学部))
  • 玉橋 容子(聖路加国際病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、外来がん化学療法における看護の質保証と効率化を維持できるよう標準化したケアを提供することを目的に、最も安全性の確保が必要とされる抗がん剤投与時の血管外漏出(extravasation:以下EVとする)に焦点をあて、Evidence-based Nursingの手法をもとに、EVの予防、EVの早期発見に向けて専門的判断や対処、EVに関するセルフケアの促進に関する実際的な指針を示し、患者のQOL向上に貢献できる看護ガイドラインの開発をめざしている。
研究方法
 EVの予防、早期発見、対処に関するエビデンスを集積するために、がん看護エキスパートを中心としたレビューチームとそのリーダーによるレビューパネルを組織化し、網羅的に検索した1,343文献から、第一段階の吟味で139文献を精選し、レビューグループ内での内的妥当性を保持しつつ第二段階の批判的吟味を行った。批判的吟味はエビデンス・テーブルに集積し、採択したエビデンスの推奨内容に基づき、ガイドライン試案の内容の構造化を行った。
結果と考察
 ガイドライン試案の内容は、〔EVによる組織侵襲の実態〕〔安全な実施環境を整える〕〔静脈確保のためのアセスメント〕〔静脈確保と抗がん剤の確実な注入〕〔EV予防のセルフケアの推進〕〔EV早期発見のアセスメント〕〔EVからの組織侵襲回復の治療・ケアとその効果〕〔EVからの組織侵襲回復にむけたセルフケアの推進〕〔静脈留置カテーテルや皮下埋め込みポートによるEV 〕に構成された。EVに関する臨床研究では、倫理上、法律上の重大性からランダム化比較試験(RCT)は認められず、推奨度の決定には、エビデンスレベルとともに、臨床的有効性や適用性、害やコストなどの要素を勘案して総合的に判断する必要があった。さらに、患者のセルフケアを促進し、外来通院化学療法を安全に実施・継続する上で、本ガイドラインで提示した内容と併せて、患者が幅広く活用できるような、患者用のガイドラインを別に作成する必要性が示された。
結論
 本ガイドラインは、多様な抗がん剤のレジメンに関する熟知した知識や高度な医療技術が求められる外来化学療法看護において、EVに関する専門的判断や対応策、患者のセルフケア促進に関する実際的な指針をもたらすものである。臨床適用がすすむことにより、外来がん化学療法における看護の質保証が図られるとともに、患者のQOLの維持・向上への貢献が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-