死体検案業務の質の確保等に関する研究

文献情報

文献番号
200400975A
報告書区分
総括
研究課題名
死体検案業務の質の確保等に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田謙一(東京大学大学院医学系研究科法医学)
  • 木内貴弘(東京大学医学部附属病院医療情報ネットワーク研究センター)
  • 稲葉一人(科学技術文明研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、死体検案システムの改善に資する政策提言及び警察医を含め死体検案業務に従事する医師の死体検案業務の向上に資する研修制度のあり方に関する政策提言を行うことを目的とする。
研究方法
1.死体検案講習会のプログラムの開発・実施・評価、2.オーストラリアのビクトリア法医学研究所における事故予防と医療関連死調査の取り組みの実態調査、3.国際比較にみる日本の「医療関連死」調査:第三者機関の要件と保健所届出案に関する研究、4.届け出るべき「医療関連死」に関する研究、5.死体検案情報のデータベース化とその活用の可能性に関する研究、6.医療における裁判外紛争解決(ADR)と調停(Mediation)に関する研究を実施した。
結果と考察
以下の結果が得られた。
1.3日間+見学実習からなる死体検案講習会が、全国で検案業務に携わっている医師にとって有益であり、そのニーズに合致していること。
2.法律家と法医が協力しつつ、異状死の死因究明、調査情報のIT管理するシステムは、実際に数々の分野で事故予防に貢献していること。
3.医療関連死の公正な死因究明、予防、情報開示を目指して、医療関連死を届け出て医療専門家が死因究明と医療評価をするための第三者機関として保健所が適切であること。
4.保健所などの第三者機関に届け出るべき「医療関連死」とは、「『診療中の疾病の予期された経過を超えた死亡』であって、『医療に関する有害事象発生後の死亡』であるもの」であり、「遺族から、特定の医療行為、または不作為について疑問を提起されうる死亡」であること。
5.予防可能な死の原因を発見し、その対策の効果を評価するために、全国異状死症例データベースの構築が必要なこと。
6.医療の紛争を話し合い(裁判によらない)で解決することを支える人材、医療Mediatorの養成が急務で、医療の特色に即した人材育成プログラムを開発する必要があること。
結論
死体検案講習会は平成17年度も継続して実施されることが決まっており、実施体制をさらに整備した上で、関係者の意見を踏まえて、より現場のニーズに即したものとなるよう努める。医療関連死についてはその定義を明確にすると同時に、保健所などの第三者機関に届け出るシステムの構築及び全国規模の異状死症例データベースの構築が必要である。また、医療紛争を裁判によらない方法で解決するための人材の養成が必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-07-22
更新日
-