医療事故の全国的発生頻度に関する研究

文献情報

文献番号
200400967A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故の全国的発生頻度に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
堺 秀人(東海大学(医学部))
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(保健医療科学院)
  • 大道 久(日本大学医学部)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部)
  • 池田 俊也(慶應義塾大学医学部)
  • 平尾 智宏(香川大学医療管理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、わが国における有害事象の発生頻度を全国的に把握するために、現実的かつ効率的な手法を確定すると共に、その手法を用いて国内における有害事象の頻度やその性質・内容を把握することを目的とした。
研究方法
遡及的診療録調査の妥当性検証として、某1病院において平成14年度に提出された医療事故報告書の中から100件を無作為抽出し、対応する診療録について看護師2名が独立してレビューを行った。さらにこれらの100冊の診療録をさらに3人の医師レビュー者が独立して判定し各医師間の一致率等を分析し、医師による判定の信頼性を検証した。
次に本年度から開始した本格調査として、全国から無作為に抽出した15病院において、カルテを無作為に抽出し、現在当研究班が規定している有害事象の定義に合致するカルテの頻度を病院ごとに調査した。
結果と考察
 妥当性検証については100件中本研究において把握すべき有害事象28件のうち25件は診療録に記載があったが、このうちの1件は看護師1名が把握し得なかった。残りの3件の有害事象は診療録の記載が不十分であったため両看護師とも把握し得なかった。医師判定の信頼性検証に関しては各医師の的中率は86?97%であった。
 本格調査として15病院3,651冊を集計した段階では、当研究班が諸外国との整合を図った「新判定基準」で有害事象頻度が6.4±1.9%、わが国独自の厳しい基準である「濃厚処置のみ発生した症例」を加えた場合では8.0±2.1%であった。予防可能性は15病院全体で58.8%であった。
結論
本研究では、わが国における有害事象の頻度やその性質・内容を調査することを目的として①医療事故報告書による遡及的診療録レビューの妥当性検証、②複数の医師間における判定の信頼性検証、③無作為抽出された15病院における遡及的診療録レビュー、④諸外国の調査結果との比較分析などをおこなった。
その結果、信頼性検証において有害事象の有無の判定については高い一致率が得られた。また妥当性検証においては、有害事象の中には診療録に記載された事象についてはほぼ把握可能との結果が得られた。15施設3,651件のデータを集計したところ、当研究班が諸外国との整合を図った「新判定基準」で有害事象の発生率は6.4±1.9%であった。予防可能性については15病院全体で58.8%であった。

公開日・更新日

公開日
2005-07-22
更新日
-