医療事故における人間的・組織的要因の分析・予防システム等の開発研究

文献情報

文献番号
200400966A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故における人間的・組織的要因の分析・予防システム等の開発研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(財団法人日本医療機能評価機構 研究開発部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、事例分析と組織分析を系統的に信頼性の高い方法で行い、医療事故の根本原因である人的・組織要因を明らかにし、具体策による問題解決と組織強化を迅速に行える手法について研究開発を行うことである。ヒューマンエラーを防ぎ、組織全体で事故を防止し安全を保証し向上する仕組みについて、系統的に評価し強化する方法の確立は社会的ニーズも高く、本研究はそのニーズに応えることを目的としている。
研究方法
①航空・原子力・宇宙工学における人的・組織的要因からの事故防止の方策について最新の知見を収集し、医療への適用可能性及び有用性を検討した。②医療分野に導入され始めたリスク評価の手法について情報を収集し、効果や汎用性を検討した。③安全確保への組織的取り組み状況及びニーズを把握するために量的調査を実施した。特に、組織要因と安全確保の実施状況の関連に注目しながら分析を進めた。④安全確保・組織文化に関する文献や専門家による検討をもとに、改善の手助けとなるよう作成したチェック項目を用い、医療施設を訪問の上、組織運営に対する質評価と改善点の分析を行った。事例検討を通し、多くの施設で汎用できるよう課題や改善策を整理した。
結果と考察
①航空・原子力・宇宙工学分野では、網羅的な関連情報収集、事故発生前のリスク評価、安全に対する組織文化の強化の重要性が認識されており、いくつかの手法が医療でも適用可能であった。②人的エラーに注目する社会技術確率論的リスク評価は、膨大な情報量から重要な情報や優先すべき対策を同定できる点で医療分野でも非常に有効であった。③調査の分析結果から、安全に対する組織文化、いわゆる安全文化の醸成が、安全を確保するためのプラクティスの推進に関連していることが示唆された。④訪問による安全確保の組織評価で用いたチェック項目が有効であること、安全に対する組織文化やリーダーシップが安全確保の推進に大きく寄与していることを確認した。
結論
医療の安全と質の向上の為には、人的・組織的要因に有効にアプローチできる発生確率や重要度を評価できる確立論的リスク評価(PRA)の手法が効果的である。また、人的・組織的要因に関して網羅的にリスクを把握し改善策など必要な情報を取り出せるデータベース構築や分析手法も整理できた。さらに、安全確保において重要である組織文化を適切に評価するのに有効な手法をもって実証的な検討ができた。

公開日・更新日

公開日
2005-07-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-