医療の質及び医療安全体制の確保に関する研究(医療事故を防止するための対策の効果的な実施及び評価に関する研究)

文献情報

文献番号
200400963A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の質及び医療安全体制の確保に関する研究(医療事故を防止するための対策の効果的な実施及び評価に関する研究)
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
千野 直一(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 里宇 明元(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室)
  • 前田 真治(北里大学医療衛生学部)
  • 藤田 郁代(国際医療福祉大学言語聴覚障害学科)
  • 住田 幹男(関西労災病院リハビリテーション科)
  • 北代 直美(七沢リハビリテーション病院脳血管センター)
  • 遠藤 敏(慶應義塾大学病院リハビリテーション科)
  • 東 祐二(藤元早鈴病院)
  • 栗山 明彦(早稲田医療技術専門学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢化、医療の高度化に伴い、リハビリテーション(リハ)医療においても高リスク例が増加し、医療事故のリスクが高まりつつある。従来、病院全体としての安全管理への取り組みは多く報告されているが、リハ医療に特性を踏まえたチームとしての安全対策に関する報告はほとんどない。そこで、リハ医療が安全に行われるために必要なシステムを関連職種の連携により構築することを目的に以下の研究を行った。
研究方法
1.実態調査:リハ医学会研修認定の333施設を対象に安全管理・教育研修体制、職種ごとの安全上の問題点、リハ関連職の安全管理への関与などに関する調査を行った。2.安全管理マニュアル作成のための提言:H15年度に全国のリハ施設から収集したマニュアルを医療事故の実態と対比させながら評価するとともに、望ましいマニュアルのありかたを提言した。3.インシデント・アクシデント(I-A)データベースの作成:リハ医療の特殊性を考慮したI-Aモニタリング用データベースを作成した。4.各部門における実態の分析:各部門における安全管理の実態、問題点と課題について全国および個々の施設のデータをもとに分析した。
結果と考察
1.実態調査:204施設より回答を得(回収率61%)、以下の問題が明らかになった。1)各部門で発生したI-Aの情報共有が不十分、2)リハ部門専任の安全管理責任者が置かれている施設は限られ(40%)、マニュアルが未整備の施設も30%存在、3)事故内容は転倒・転落だけでなく、起立性低血圧、チューブ類のトラブル、物理療法・運動療法中の事故など多様、4)事故データを事故防止に役立てるために活用している施設は少数で、安全教育への取り組みも施設によりさまざま。2.安全管理マニュアル作成のための提言:リハ部門の特性を踏まえたマニュアルの考え方、骨子について提言し、リスクチェックシートおよび安全管理マニュアルの原案を作成した。3.I-Aデータベースの作成:事故発生要因となりうる患者プロフィールをはじめ、リハ領域で発生しやすい事故内容を網羅しうるデータベースを作成した。4.各部門における実態の分析:今年度は作業療法、言語聴覚療法、看護部門における実態と課題を報告した。
 以上により、リハ医療における安全管理の現状と課題が明らかとなり、マニュアルの作成を含めた具体的な改善の方向性が示された。
結論
今後、主要リハ医療施設におけるI-Aモニタリングおよび標準的な安全管理マニュアルの作成とその効果の検証を行う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-07-22
更新日
-