外科領域の医療安全対策支援システムの開発と内視鏡外科におけるシュミレーター学習の有用性に関する研究

文献情報

文献番号
200400961A
報告書区分
総括
研究課題名
外科領域の医療安全対策支援システムの開発と内視鏡外科におけるシュミレーター学習の有用性に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 紘之(北海道大学)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 暉(大阪大学)
  • 二村雄次(名古屋大学)
  • 木村泰三(富士宮市立病院)
  • 和田英俊(浜松医科大学)
  • 河野龍太郎(東京電力株式会社)
  • 遠藤 晃(北海道大学病院)
  • 福島洋子(北海道大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.診療における外科系インシデントについて、医療安全対策支援システムを構築する。
2.内視鏡手術を安全に行うためシュミレーターを用いての訓練が期待されている中、内視鏡手術の技術の獲得に有用かどうか、またVRとTBの優劣と特徴を検討する。
研究方法
1.6大学病院の協力を得てインシデント報告データを収集した。各大学病院間のインシデント事例分析、データマイニング手法を用いたパターン分析の比較検討を行った。
2.学生を被験者として、シュミレーター訓練群とコントロール群に分け、訓練群は把持、クリップ装着、切離、縫合結紮などをシュミレーターを用いてトレーニングし、コントロール群は手技のビデオ観察のみ行った。その後ブタを用いて実際に胆嚢摘出術を施行し、技術評価は手術時間とエラー回数をみて行った。
結果と考察
1.大学間の共通した項目が少なくデータの分析を行うために使用できる項目数が減少し、結果的にインシデントパターン抽出までにはいたらなかった。標準化されていないシステムにおける施設間でのデータ分析は困難であった。インシデント対策を講じるための根拠あるデータが必要であり、データの量以外にも質も重要であると考える。
2.総手術時間、エラー回数では有意差を認めなかったが、縫合結紮時間では有意差があった。シュミレーターの訓練だけで即実際の手術ができるものではなく、バーチャルシュミレーターは経験を経て有用性が増す。トレーニングボックスは熟知する指導者のもと有用性が増す。両者の組み合わせによって良い内視鏡外科教育ができるのではないかと思われる。
結論
1.次年度には北大病院のインシデント報告システムを用い、従来のシステムにインシデント対策分類モデルに対応した項目や前後関係などのデータを追加し、さらに欠損値のないデータでインシデントのパターン分析を進める。この洗練されたデータを用い最終的にインシデント対策データベースの構築を目指す。
2.バーチャルリアリティシュミレーターとトレーニングボックスシュミレーター両方の組み合わせが、内視鏡外科教育に有用であると思われるが、より触知感覚の得られるVRシュミレーターによる訓練効果、ボックス内に実際の臓器を入れた場合のTBによる訓練の効果等の分析結果も加えさらなる検討が必要と考える。

公開日・更新日

公開日
2007-10-23
更新日
-