医療・保健分野におけるインターネット利用の信頼性確保に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400953A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・保健分野におけるインターネット利用の信頼性確保に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
辰巳 治之(札幌医科大学 医学部解剖学第一講座)
研究分担者(所属機関)
  • 花井 荘太郎(国立循環器病センター 運営部調査課)
  • 水島 洋(国立がんセンター研究所 がん情報研究部)
  • 上出 良一(東京慈恵会医科大学 皮膚科額講座)
  • 西藤 成雄(西藤こどもクリニック)
  • 三谷 博明(日本インターネット医療協議会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機関における個人情報の取り扱い方が大きな課題になってき

ていることから、通院している患者にアンケート調査を行い、どのような不満

や要望があるかを聞き、施設内での個人情報保護方針の告知の有無について患

者自身に答えてもらい、さらに、医療機関Web サイトを、一定の客観的基準に

基づき評価を行い、現状を把握し信頼性確保のための方策を検討する。
研究方法
インターネットで医療情報を利用している患者を対象に、「わた

しの病院(Webサイト)」の利用者で、本調査への同意を得た上で、 Web上で回

答してもらった。さらに、東京、神奈川地区の45の病院を抽出し、実際に病院

施設を訪問、入口や受付付近を見回って、院内掲示の状況を調査した。また、

医療機関のWebサイトを目視で閲覧してJIMAのe ヘルス倫理コードを参考に評

価作業を行った。
結果と考察
患者の個人情報の取扱い方が気になったことが「ある」が40.0

%であった。これは昨今の社会全般におけるプライバシー意識の高まりが背景

にあるように思われる。また、個人情報保護法によりその取り組みを行わなけ

ればならなくなることを89.4%が知っていたが、「患者の個人情報の利用目的

を特定して院内掲示等で公表しなければならない」というのを理解していたの

は45.2 %で、まだ十分周知されていない。「その院内掲示等を行っているの

に気づいた」が8.7%(件数は9件)となっていたが、別途の訪問調査で45の病院

中、2病院しか対応できていなかった。従って患者がみたという院内掲示の有

無の判断が適正なものだったかどうか疑問は否めない。個人情報保護法やガイ

ドライン等について、周知が「十分行われていると思う」割合が6.7%しかな

く、広く広報・周知をはかっていく必要があろうと思われる。サイトの評価は、

コンテンツの著作、制作、監修者の明示や最新性においては、望ましい基準に

達していないところが多かった。また、プライバシーポリシーの策定・掲示が

できていないところが85.4%にのぼり、今後の改善が求められる。
結論
個人情報の取り扱いについては規制する一方で、医療情報流通を促進し

市民にとってメリットが眼に見えるようなものも用意し、実運用可能な範囲で、

個人情報の取り扱い・保護についてコンセンサスを得ながら、法律も含め、各

方面からガイドラインや第三者評価などが普及する手立てを考えることが必要

と考える。

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200400953B
報告書区分
総合
研究課題名
医療・保健分野におけるインターネット利用の信頼性確保に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
辰巳 治之(札幌医科大学 医学部解剖学第一講座)
研究分担者(所属機関)
  • 花井 荘太郎(国立循環器病センター 運営部調査課)
  • 水島 洋(国立がんセンター研究所 がん情報研究部)
  • 上出 良一(東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座)
  • 西藤 成雄(西藤こどもクリニック)
  • 三谷 博明(日本インターネット医療協議会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療・保健分野でのインターネット利用が進む中で、提供される情報やサービ
スに関し、信頼性の確保が課題になっている。本研究ではインターネット上の
医療情報流通に関しアンケート調査等を行い、医療情報の質向上、信頼性確保
の為の調査研究を行うのが目的である。
研究方法
1. 自治体等公的機関からの医療情報の提供の現状調査、2. 医療機関(病院)
のWebサイトの実態調査、3. 患者がアクセスする医療機関Webサイトでのプ
ライバシーの取扱い状況や、患者自身の意識等について調査を行った。
結果と考察
自治体等公的機関に於いては、医療情報の提供が未だ充分とは言えず、情報
の提供方法にも改善が求められていることが示唆された。また、民間レベルに在
っては、自主的なガイドラインを策定・運用したり、第三者評価や自己チェック
を機能させ利用者の信頼に応えていく必要性が示されている。目視による
確認作業により、病院のWebサイトの開設率は40.8 %(病院9,122施設中3,725
件:15年11月現在)であることが判ったが、まだ充分に目的を実現しきれて
ない状況が窺えた。プライバシーの取扱いについては医療機関利用者(患者)
を対象として調査したところ、個人情報保護法や関連するガイドラインに関して
法施行前の周知が不充分であることも指摘された。更に、同法の施行を控えた
3月中旬の時点で、45病院施設を訪問調査した際には、準備を終えていた医療
機関は2病院に留まるなど、対応の遅れが目立っていた。
結論
高度情報化社会に於いて医療情報の流通に関する信頼性確保のためには、
情報の質的向上はもとより、情報漏洩・不正使用防止といった情報保護に関す
る対応も重要課題である。「知らなければよかった」こと、「知られてしまった」こ
とを、元に復することは困難であり、その後も永く多大な精神的苦痛・損害を与
えてしまう可能性がある。逆に、個人情報保護が行き過ぎる余り情報化社会の
メリットを一番享受すべき一般市民が返って、不利益を蒙ることもあり得る。個
人情報の取扱いについては厳しく規制する一方で、一般市民に対しメリットが
「眼に見える」様なものも用意し、実運用可能な範囲で個人情報の取扱い・保
護に関する一般市民のコンセンサスを得つつ、各方面からガイドラインや第三者
評価などが普及する仕組みの確立が必要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-