診療情報の統一コーディング対応による診療結果比較に関する研究

文献情報

文献番号
200400951A
報告書区分
総括
研究課題名
診療情報の統一コーディング対応による診療結果比較に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
河北 博文(東京都病院協会)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 主要な24疾患・処置を対象に、参加病院が一定の臨床指標に基づいて、患者の属性・重症度、死亡率等の予後、在院日数、医療費などの診療アウトカムの分布、代表値などの標準を明らかにする。また、医療の質向上へのインセンティブを与え、インフォームドコンセントを与える際に提供される情報の質・量面での改善と、満足度向上をもたらす。他に実際のコストを算出・比較することにより医療経営の合理化・医療資源の配分のあり方を検討する。
研究方法
 標準的な急性期病院において主要な24疾患・処置を選択した。入力される情報は、属性、主傷病名、手術名、合併症・併発症、重症度、ADL、入・退院前後の行き先、医療費などである。
 また病院全体の臨床指標として、院内感染症、転倒・転落、抑制を採用した。
 入力専用プログラムの開発を行ない、参加病院に配布した。
 2002年4月より事業を開始。データは3カ月毎に提出され、解析後、参加病院に対して
報告される。
 個人情報については特に留意され、データは秘匿化された後に提出される。
 現時点では、レーティングは考慮しておらず、参加病院名の公表も行なわない。
結果と考察
 診療アウトカム評価事業のあり方についての検討、入力プログラムの開発後、事業を開始。現在は約20病院の参加により、3カ月ごとにデータの集計・解析が行なった。2002年4月より2004年3月までの2年間に22,301人のデータが得られ、疾患別では、肺炎(3,076人)、分娩(2,473人)、白内障(1,706人)、脳梗塞(1,457人)、大腿骨骨折(1,191人)の順で、上位5疾患で全体の44.4%を占めた。これらのデータに対して、疾患別、重症度別の死亡率、在院日数などの治療結果を明らかにした。
 website(http://www.tmha.net/outcome/index.html)で一部公開。
結論
 本研究で開発・確立した診療アウトカム評価事業は、日本ではじめて臨床指標を用いてアウトカム評価を継続的に実施する点では画期的である。また病院団体が主導で同プロジェクトを実施するという点から、医療の質向上における病院団体の役割についての知見を与えるものである。医療の質を維持・向上させるための仕組づくりについては世界的にも現在模索されつつあり、同プロジェクトについて外国から照会が行なわれるなど注目されている。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200400951B
報告書区分
総合
研究課題名
診療情報の統一コーディング対応による診療結果比較に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
河北 博文(東京都病院協会)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 主要な24疾患・処置を対象に、参加病院が一定の臨床指標に基づいて、患者の属性・重症度、死亡率等の予後、在院日数、医療費などの分布、代表値などの標準を明らかにする。また、医療の質向上、インフォームドコンセントに提供される情報の質・量面での改善と、満足度向上をもたらす。他に実際のコストを算出・比較することにより医療経営の合理化・医療資源の配分のあり方を検討する。
研究方法
1.アウトカム実施のために、対象疾患の同定と臨床指標の決定、ソフトウエアの開発、
  参加病院の募集及び説明会の開催。
2.国内病院の診療録管理体制状況のアンケート調査。
3.診療情報管理のBest Practice病院見学と研修会を実施し、診療録管理立ち上げマニュア  ルの作成。
結果と考察
 2002年4月より3カ月ごとにデータの集計・解析を行なった。2004年3月までの2年間を比較すると退院患者数の増加、平均在院日数のわずかな短縮傾向、死亡退院率は2002年度4.4%に対し2003年度は5.2%、平均医療点数はわずかな増加傾向が見られた。
アンケート調査結果では診療情報管理委員会の設置が進み、2002年以降は体制整備を進めている。入院患者疾病統計の作成が2003年以前に比べ顕著に増加した。 
 診療録管理体制の支援プロジェクトを実施し、その知見を基に、中小規模の病院を想定したマニュアルの作成を行った。
 佐賀医科大学附属病院、国立大阪病院、日鋼記念病院、洛和会音羽病院、京都医療センターの5病院を視察した。
結論
 臨床指標を用いたアウトカム評価を継続的な実施は画期的で、病院団体の役割についても知見を与えるものである。医療の質を維持・向上のための仕組つくりは世界的にも模索されつつあり、外国から照会が行なわれるなど注目されている。今後は参加病院の拡大、データの信頼性の確保、より正確なベンチマーキンクのために病床数、病院種別ごとの集計、などに改善の余地が有る。
 診療情報管理アンケート調査は同一の対象設定した定点調査として今後も継続して行なわれる必要があり、その意味で極めて重要なものと考えられる。
 また、2005.4個人情報保護法の施行に伴い、診療情報管理体制のあり方、情報の電子化によるセキュリティシステムの構築について等、今後も引き続き検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-