薬物の細胞内トラフィックや生体内挙動を制御できるペプチド性DDSキャリアの創製システムの開発とその評価

文献情報

文献番号
200401418A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物の細胞内トラフィックや生体内挙動を制御できるペプチド性DDSキャリアの創製システムの開発とその評価
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
堤 康央(国立医薬品食品衛生研究所大阪支所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
たんぱく質を医薬品化するためには、安全かつ効率よく1)蛋白質を病態組織へターゲティングしたうえで、2)標的細胞の表面レセプターや細胞内、さらには特定オルガネラへデリバリーできるDDSの開発が、依然として必要不可欠となっている。本年度研究ではまず1)に着目し、ファージ表面提示法を基盤として、安全かつ効果的に蛋白性薬物を細胞内送達できる新規PTDの探索・同定システムの開発を図った。
研究方法
ファージ表面提示法を駆使することで、18merのランダムペプチドをg3p蛋白質との融合体としてファージ表面に提示したファージライブラリを作製した。得られたファージライブラリを用い、ヒト扁平上皮がんA431細胞に対するパンニングを複数回行った。パンニングにより選別されたファージから、有効なPTDを探索した。
結果と考察
現在、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来のTatペプチドに代表される「細胞外から細胞内へ移行できるキャリアペプチド (PTD)」を、細胞内に導入されて初めて薬効を発揮できる蛋白質などの細胞内動態制御に適用しようとする試みが注目されている。しかし、PTDの細胞内への移行メカニズムや細胞内局在など、未だ解明されていない点が多く残されていることに加え、現存するPTDの導入効率では、細胞内の病態関連蛋白質や遺伝子などをターゲットとした疾病治療を行うためには不十分と考えられている。そのため、現存するPTDよりも「細胞外から細胞内への蛋白質(薬物)導入効率」に優れた新規PTDを創製することが、重要課題となっている。しかしこれまで、PTDや種々機能性ペプチド、生理活性ペプチドの探索・同定に用いられてきた人工的なペプチド合成の手法を用いた従来法では、PTD等の同定に多大な労力と時間を要してしまう。以上の観点から本研究では、細胞外から細胞内へ移行できるキャリアペプチド (PTD)の迅速探索・同定システムの開発を目指し、ファージ表面提示法とPSIFを有効活用した新たな方法論の構築を図った。その結果Tatペプチドと比較して、特にPTD活性に優れている7つの新規PTDを同定した。
結論
本研究ではファージ表面提示法を基盤として、蛋白性薬物を安全かつ効果的に細胞内送達できる新規キャリアペプチド (PTD)を迅速探索できるシステムの開発を目指した。その結果、既存のPTDよりも細胞内移行性に優れた新規ペプチドを複数同定できた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-