ヒト胎盤組織を用いた薬物の胎児移行性及び胎児毒性の定量的評価

文献情報

文献番号
200401417A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト胎盤組織を用いた薬物の胎児移行性及び胎児毒性の定量的評価
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
澤田 康文(東京大学)
研究分担者(所属機関)
  • 大谷壽一(九州大学 大学院薬学研究院)
  • 辻本雅之(九州大学 大学院薬学研究院)
  • 月森清巳(九州大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
14,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)ヒト胎盤試料の供給、2)ヒト胎盤灌流法と薬物動態学的モデルの組み合わせによる薬物の胎児移行性について評価系の確立、3) 血液胎盤関門の機能を in vitro 系でより詳細に検討するため、血液胎盤関門の本体と考えられている胎盤シンシチオトロホブラスト細胞の単離・培養条件の検討、4) 胎盤に発現している薬物輸送担体について、特にアニオン系薬物の胎盤透過過程に着目し、各種輸送担体の胎盤における発現と機能解析、などを行うことを目的とした。
研究方法
ヒト胎盤試料の供給については、胎盤の条件等が実験の成否に及ぼす影響について解析を行った。In vitroヒト胎盤灌流は、三種のプロトコルでサリチル酸及びアンチピリンの動態を検討し、、新たなキネティックモデルを用いて解析した。胎盤由来組織や培養細胞における輸送担体の発現確認は、RT-PCR 法により行った。OAT4 安定発現細胞を構築し、[3H]エストロン-3-硫酸の取り込み活性を評価するとともに、ヒト胎盤試料におけるOAT4の発現や機能と比較した。
結果と考察
胎盤組織の利用にあたっては、脱血操作が重要な要因であった。胎盤灌流実験の薬物動態学的モデル解析により、薬物の経胎盤移行過程などを精度良く評価できた。単離初代培養トロホブラスト細胞は刷子縁膜側からの薬物取り込み実験に使用可能であった。OAT4 安定発現系における[3H]estrone-3-sulfate の取り込みは濃度依存性を示し、その親和性定数 Km 値は 20.9 μM であった。ヒト満期胎盤から調製した BLMVs への [3H]estrone-3-sulfate の取り込みは、特異的表面結合のため解析が困難であった。
結論
日常医療の中で娩出される胎盤を、薬物の経胎盤輸送を解明するための研究に供するにあたっての提供条件や提供手順を明らかにすることが出来た。また、胎盤灌流実験の結果に薬物動態学的モデルを適用することで、薬物の胎盤透過における素過程をそれぞれ分離して、定量的に評価することができた。さらに、ヒト胎盤組織から比較的簡易な操作でトロホブラスト細胞を単離する条件を確立することが出来た。胎盤において、OATP-B, D, E 及び OAT4 の mRNA レベルでの発現を確認した。また、ヒト胎盤シンシチオトロホブラスト細胞基底膜における OAT4 の発現が蛋白レベルで確認された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-