エイズに関連する日和見原虫感染症に対する新規創薬に関する研究

文献情報

文献番号
200401414A
報告書区分
総括
研究課題名
エイズに関連する日和見原虫感染症に対する新規創薬に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
野崎 智義(群馬大学)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 雅一(アリジェン株式会社)
  • 浅井 隆志(慶応義塾大学 医学部)
  • 北 潔(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 藪 義貞(名古屋市立大学 大学院医学系研究科)
  • 中野 由美子(国立感染症研究所 寄生動物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
28,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
トキソプラズマ症、クリプトスポリジア症、赤痢アメーバ症はエイズに伴う重要な原虫性感染症である。本研究はこれらの感染症に対する新規薬剤創生の基盤となる研究を行う。更に、構造生物学的研究成果を新規化学療法剤の実用化につなげることを目的としている。
研究方法
 組換えクリプトスポリジアシアン耐性末端酸化酵素(AOX)、ネオスポーラヌクレオシド3リン酸加水分解酵素(NTPase)、赤痢アメーバメチオニンガンマリアーゼ(MGL)の大量合成法を確立した。また、NTPase、MGLを蒸気拡散法を用いて結晶化し、MGLのX線解析を播磨理研SPring-8で行った。
 培養細胞を用いたインビトロ、SCID マウスを用いたインビボのクリプトスポリジア感染効果判定系を確立した。また、赤痢アメーバハムスター肝膿瘍モデル、C3H/HeJマウスを用いた腸炎モデルを確立した。
結果と考察
 NTPase及びMGLの結晶化を達成した。準備的X線回折像によりMGL2結晶は空間群P212121の構造を示し、4量体構造をとった。
 トリパノソーマAOXを用いた解析によりアスコフラノン誘導体の阻害構造活性相関が明らかとなった。TAO阻害にフラノン環は必須ではない。六員環のクロロ基とメチル基並びに六員環とリンカーの連結部分の構造はTAO阻害に重要である。リンカーの長さは重要でない。
 PKIIは、特殊な基質特異性・ミトコンドリアへの局在など前例のない酵素であった。
 インビトロのクリプトスポリジア感染系の評価ではアスコフラノン濃度依存的にオーシスト数が減少した。インビボ評価系では3-5回の経口投与で治療効果が認められた。赤痢アメーバのハムスター肝膿瘍及びマウス腸管感染モデルで、再現性の良い感染系を確立した。後者は、ヒト赤痢アメーバ腸炎の病態を反映した優れたモデルであった。更に、安全性・選択性が高いTFM及びアスコフラノン誘導体を選択することを目的に多数の化合物合成を終了した。
結論
標的酵素の立体構造解明に必須な結晶化、インビトロ・インビボ評価系の構築、誘導体合成などの初年度の目標が順調に達成され、次年度以降の研究発展のために不可欠な準備的成果を挙げた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-