HIV-1およびインフルエンザウイルスのゲノムRNA核外輸送機構の解明に基づく創薬

文献情報

文献番号
200400949A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV-1およびインフルエンザウイルスのゲノムRNA核外輸送機構の解明に基づく創薬
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 秀宗(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 飛梅 実(国立感染症研究所)
  • 松田 道行(大阪大学微生物病研究所)
  • 森山雅美(イムノヘルスジャパン)
  • 山口靖雄(大道産業)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV-1のゲノムRNA核外輸送機構の解明に基づく創薬を目的として、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)観察技術により、HIV-1 Revと宿主Crm1の結合を可視化することに成功した。
研究方法
FRETプローブの作成しRev及びCrm1の細胞内での動態を可視化するため、蛍光タンパク質との融合タンパク質として発現する系の構築を行った。Revと融合発現する蛍光タンパク質としてCFP (Cyan fluorescence protein)を用いた。Crm1の融合蛍光蛋白質としてYFP (Yellow fluorescence protein)を用いた。蛍光顕微鏡以外の機器でのFRET検出としてフローサイトメトリー法を用いた方法も行った。
結果と考察
RevとCrm1の結合によるFRETは細胞の核内、核膜で起きていること、レプトマイシンBにより阻害できることが判明した。これは核内でRev-Crm1-RNAゲノムの複合体が形成された後、細胞質へ輸送されることを示唆する。またGTP結合型の活性化Ranを同時に強制発現すると、Rev-Crm1の結合を示すFRETの値が増強したことから、Rev-Crm1-RNAゲノムの複合体形成はGTP型Ranによって誘導されることが示された。HIV-1 RNAゲノムの核外輸送にはこのように多くの分子が介在していることが示唆される。このRev-Crm1の結合は、蛍光顕微鏡のみならず、フローサイトメトリーでも検出可能になった。
結論
HIV-1 Revと宿主因子Crm1の細胞内局在を免疫染色等により観察し、さらに生細胞中でRevとCrm1の結合をFRETの技術を用いて可視化した。作製したプローブを用いて検討した結果、Rev-Crm1の結合は細胞の核内、核膜で起きていること、レプトマイシンBによって阻害されることが判明した。このRev-Crm1の結合に由来するFRETは、蛍光顕微鏡のみならず、フローサイトメトリーでも検出可能であった。またGTP型activeRanを強制発現することでさらに強いFRET値を得ることができ、Rev-Crm1の結合を阻害する分子、薬剤のスクリーニングに用いることが可能であると思われた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-