ヒト型リンパ濾胞を持つエイズモデルマウスの作成とその応用

文献情報

文献番号
200400948A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト型リンパ濾胞を持つエイズモデルマウスの作成とその応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
清水 則夫(東京医科歯科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 直樹(国立感染症研究所 エイズ研究センター長)
  • 寺嶋 一夫(東京医科歯科大学医学部 非常勤講師)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学医学部 助教授)
  • 関根 暉彬(株式会社リンフォテック 代表取締役)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV-1はリンパ球濾胞内で濾胞樹状細胞(FDC)を介して効率良くCD4陽性細胞に感染し、またリンパ濾胞破壊がエイズ発症の要となっている。本研究は、ヒト造血幹細胞移植が可能なNOGマウス(NOD/SCID/γcnullマウス)を利用して、ヒト型リンパ濾胞を持ちHIV-1感染を許容するエイズモデルマウスを開発し、新規抗エイズ薬・ワクチン開発へ応用することを目的とした。
研究方法
1.ヒトCD34陽性造血幹細胞と活性化CD4陽性T細胞を6-8週齢のNOGマウスに投与し、移植後102-132日目に、SHIV661(T細胞指向性)およびGFP導入HIV-1JRCSF(マクロファージ指向性)を感染した。2.FDC様細胞株(FDCLC)をヒト扁桃から樹立し、その細胞に対するモノクロナール抗体を得た。
結果と考察
1.移植後4-5ヶ月のNOGマウスの脾臓では、ヒト細胞のうちT細胞が半数を占め、約40%がT細胞指向性HIV-1コレセプターCXCR4陽性、約30%がマクロファージ指向性HIV-1コレセプターCCR5陽性であり、CD14陽性単球はCD4とCCR5が陽性だった。2.移植マウスにはT細胞指向性およびマクロファージ指向性のHIV-1が感染し、プラズマ中に安定したコピー数のHIV-1が検出された。3.脾臓にはリンパ濾胞様構造が形成された。FDCはマウス由来だったが、HIV-1の集積が認められ、リンパ濾胞内のHIV-1動態解析に使用できる可能性が示唆された。4.FDC様細胞株を作成し、マウスに免疫してFDCと特異的に反応する抗体を作成した。5.より完全なエイズモデルとするためには、リンパ濾胞にヒトFDCの生着が必要である。今後移植細胞の見直し、FDC様細胞株の同時投与などの取り組みが必要である。
結論
NOGマウスにヒトCD34陽性細胞と活性化CD4陽性T細胞を投与したところ、ヒト血液細胞の生着とリンパ濾胞様構造の構築が観察された。ヒトCD4陽性細胞にはコレセプターCXCR4およびCCR5が発現しており、T細胞指向性およびマクロファージ指向性HIV-1に感受性だった。HIV-1感染マウスのプラズマ中には安定したコピー数のHIV-1が検出された。リンパ濾胞様構造内のFDCはマウス由来だったが、HIV-1の集積が認められ新規抗エイズ薬開発へ応用できる可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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