網羅的遺伝子破壊による真菌症病原性発現の分子機構の解明と新規抗真菌剤開発への応用に関する研究

文献情報

文献番号
200400945A
報告書区分
総括
研究課題名
網羅的遺伝子破壊による真菌症病原性発現の分子機構の解明と新規抗真菌剤開発への応用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
梅山 隆(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日和見感染症を初め、免疫不全による易感染症患者に認められる深在性真菌症は、患者の予後を大きく左右する深刻な感染症である。主要な医真菌であるカンジダやアスペルギルス等に対して、アゾール系薬剤とは異なる作用機作をもち、副作用の少ない新規抗真菌剤の開発が期待されている。本研究課題では、様々な分子生物学ツールを開発することによって病原真菌の基礎研究の進展を促進させる。それとともに、ゲノム情報を基にした網羅的な遺伝子破壊を行い、医真菌の病原因子を同定するとともに、創薬のために、同定した分子に対する特異的阻害剤を探索することを目的としている。
研究方法
蛋白質複合体精製のための新しい分子生物学ツールの開発および網羅的な遺伝子破壊株の作製の二つの課題について研究を行なった。セプチンと呼ばれる蛋白質複合体について細胞抽出液より二段階精製を行い、複合体形成蛋白についてMALDI-TOF MSを用いて同定した。また、C. albicansにおいて既に公開されているゲノムデータベースを基に、目的遺伝子について遺伝子破壊用カセットDNAをPCR法によって作製し、C. albicansの栄養要求株に形質転換することによって完全に遺伝子が欠失した株を取得した。
結果と考察
蛋白質複合体精製のための新しい分子生物学ツールの開発については、セプチン蛋白複合体を精製したところ、主要なバンドとして、5種類の蛋白が複合体を形成していることを示し、開発した精製系が有効に使えることを証明した。また、プロテインキナーゼ、プロテインフォスファターゼ、転写因子を含む約50種類の遺伝子について遺伝子破壊を行い、株の取得に成功した。本研究のような様々な解析ツールの開発、遺伝子破壊法の確立によって、本菌の基礎研究の推進に貢献できた。
結論
蛋白質複合体を精製するための分子生物学的ツールを開発し、蛋白相互作用研究に役立つことを証明した。また、C. albicansでは困難とされている遺伝子破壊法について簡便に行える系を開発し、様々な遺伝子の遺伝子破壊株を作製した。作製した遺伝子破壊株を今後詳細に解析することにより抗真菌剤標的分子の探索に貢献できると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-03-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-