PET検査を用いた癌二次予防の診断アルゴリズムの開発、PET検診施設間のネットワーク構築および死亡率低下の検証研究

文献情報

文献番号
200400944A
報告書区分
総括
研究課題名
PET検査を用いた癌二次予防の診断アルゴリズムの開発、PET検診施設間のネットワーク構築および死亡率低下の検証研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小島 伸介(京都大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
癌の征圧戦略には、早期発見・早期治療がますます重要となっている。FDG-PET検査は近年その有用性が広く認められつつあるが、無症状の集団に対する検診については信頼性の高い検証的研究は未だ行われてこなかった。一方、FDG-PETスキャンを用いた癌検診の受診者数は増加しておりこの有効性の検証は急務であった。このため、全身FDG-PET検査を用いた癌検診施設において検診の有効性について調査を行い、これを検証する前向きコホート研究をデザインし開始した。(プロスペクティブ研究は浜松光医学財団 浜松PET検診センター(西澤貞彦所長)によって実行中である。)
研究方法
後向き研究:東京都のPET検診施設において、2002年8月から2003年7月までにPETを含む癌検診を受診した者5816例を調査した。このうち癌の既往・疑いのある者を癌の高リスク集団として除外し、癌の既往および癌を疑わせる症状を有さない4906例を解析対象とした。
プロスペクティブ研究:浜松PET検診センターでは、2003年8月から2004年7月までに受診希望者を募集し、受診希望者に検診内容を説明し同意を得て検診が行なわれた。2004年12月時点で、収集されたデータの集計、解析を行った。受診者1197例全例の背景因子、診断情報が得られ、228例から確定診断情報を得られた。
結果と考察
後向き研究では、4906例の無症状で癌病歴のない受診者のうち11.6%でFDG取り込み異常の所見が得られ、そのうち癌を疑わせる所見は6.8%であった。さらにこの中から全体の0.9%に癌が検出された。PET陰性所見で1年以内に癌の診断を受けた受診者は15例であった。偽陰性例をこの15例とみなすと、PET検診の感度は73.7%、特異度は94.0%、陽性適中率は12.6%と推定された。
また、前向き研究では、西澤らにより2003年7月より2004年8月までに1197例の35歳以上の健常成人に検診が行われた。全受診者中の7.8%からPET検査で癌の疑いの診断が得られ、その中から全体の1.0%の癌の確定診断が得られた。
結論
いずれの施設でも、同様に全体の約1%の癌をPETにより発見することができた。前向き研究ではまだ確定診断情報は19%しか得られていないので、最終的に全ての確定診断結果の判明まで時間を要する。この研究によりPET検診の有用性が明らかになると期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-06-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-