遺伝子修飾による樹状細胞の機能強化に基づいた新規癌免疫療法の開発

文献情報

文献番号
200400943A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子修飾による樹状細胞の機能強化に基づいた新規癌免疫療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 直貴(京都薬科大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、樹状細胞(DC)への遺伝子導入効率に優れるRGDファイバーミュータントアデノウイルス(AdRGD)ベクターを駆使することによって、ケモカイン・ケモカインレセプター遺伝子を導入したDCの免疫学的機能を解析し、優れた免疫賦活能を有するDCワクチンの創製に関する基礎的情報の収集を図った。
研究方法
 マウスB16BL6腫瘍内に8種類のケモカイン遺伝子導入DCを投与し、腫瘍体積変化をモニタリングした。また、各ケモカインとTAAを共導入したDCをマウスにワクチン投与し、攻撃接種したB16BL6腫瘍あるいはCT26腫瘍に対する増殖抑制効果を検討した。一方、ケモカインレセプター(CCR7)遺伝子導入DCのケモカイン応答性・リンパ組織集積性を解析するとともに、CCR7とTAAを共導入したDCのB16BL6腫瘍に対するワクチン効果を検討した。
結果と考察
 DCのB16BL6腫瘍内投与に基づく抗腫瘍効果は、DCにCCL19、CCL21あるいはXCL1を導入することによって増強された。また、ケモカイン/TAA共導入DCの皮内免疫による抗腫瘍効果は、B16BL6腫瘍モデルではTAA単独導入DCと同等であったが、CT26腫瘍モデルにおいてはCCL21、CCL22あるいはCCL27の共発現によって増強効果が観察された。これらの結果は、腫瘍の種類やDC投与プロトコールに依存してケモカイン発現DCワクチンの有効性は大きく異なることを示唆している。
 次に、CCR7遺伝子導入DC(CCR7/DC)の免疫学的機能を解析したところ、CCL21(CCR7のリガンド)の濃度に依存した遊走活性の上昇とin vivoにおける高いリンパ組織移行能が示された。また、TAAとCCR7とを共導入したDCワクチンは、TAA単独導入DCと比較してより少ない投与細胞数で効果的な腫瘍免疫を誘導することが可能であった。したがって、積極的なリンパ組織移行能を有するCCR7/DCの応用は、DC免疫療法において有効な治療を達成するために必要とされていたDCワクチン投与量を大幅に低減できることが示唆された。
結論
 遺伝子導入によりDCのワクチン効果を増強できる数種のケモカインを見いだすことができた。また、CCR7遺伝子導入により投与部位からリンパ組織への高い移行能を付与したDCが、効果的な腫瘍免疫の誘導に有用なワクチン担体であることを示した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-