LEE遺伝子群非保有型腸管出血性大腸菌の疫学マーカーおよび新規治療薬の標的となる病原性遺伝子に関する基礎的研究

文献情報

文献番号
200400942A
報告書区分
総括
研究課題名
LEE遺伝子群非保有型腸管出血性大腸菌の疫学マーカーおよび新規治療薬の標的となる病原性遺伝子に関する基礎的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
伊豫田 淳(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国内でヒト由来の腸管出血性大腸菌(EHEC)の大部分は血清群O157, O26またはO111に属する。これらの三大血清群に属するEHECのほぼ100%がLEEと呼ばれる病原性遺伝子群を保有する一方、その他の血清群に属するEHECの約40%はLEEを保有しないタイプ(LEE-negative EHEC: LN-EHEC)であり、それらが保有する病原性遺伝子については不明な点が多い。本研究では、これらの病原性遺伝子について解析を行うことを目的とする。
研究方法
下痢原性大腸菌が保有すると考えられる病原性遺伝子のLN-EHECにおける分布状況をPCRによって解析した。抗大腸菌抗血清を用いて定法により血清型別を行った。トランスポゾンによるランダム突然変異法を行い、HEp-2細胞への接着能を失った突然変異体の単離を試みた。
結果と考察
2004年に国内で単離されたEHEC株(n=92)のうち、三大血清群以外のO血清群に属するEHECの約40パーセントがLN-EHECであった。培養細胞への接着形態の解析から、菌体同士が鎖状に繋がり、培養細胞へ強固に接着している(Chain-like adhesion:CLA)一群の株が明らかとなった。これらはすべて(12株)が特定のO血清群に属することが明らかとなった。CLAを示す株の接着因子を同定するために、トランスポゾン挿入突然変異体を単離したところ、少なくともその一つは接着因子をコードする遺伝子に挿入されていた。この遺伝子は非CLA株にも存在することから、CLAに特異的な接着因子である可能性は低い。国内外のEHEC株の既知の接着因子についてその分布状況を解析したところ、特定の接着因子は血清型に関わらず高い頻度(90%以上)で存在した。今後、EHEC以外の下痢原性大腸菌のカテゴリーや健常人由来の大腸菌における分布状況を解析する予定である。
結論
2004年に日本国内で単離されたO157, O26, O111以外のEHEC株(n=92)のうち、約40パーセントがLN-EHECであった。CLAを示す一群のEHEC株(12株)はすべて特定の血清群に属することが判明した。CLAを示す一株でトランスポゾン挿入突然変異体を単離したところ、接着因子をコードすると考えられる遺伝子内部にマップされた。既知の接着因子の保有状況について解析したところ、特定の接着因子は高頻度で検出されることが判明した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-