ヒトの薬物体内動態の予測向上を目指した薬物代謝酵素および薬物トランスポーターの誘導に関するインシリコ予測

文献情報

文献番号
200400940A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトの薬物体内動態の予測向上を目指した薬物代謝酵素および薬物トランスポーターの誘導に関するインシリコ予測
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小林 カオル(千葉大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
P450および薬物トランスポーターの発現に関与する核内タンパク(平成16年度はpregnane X receptor, PXR)をターゲットとし、誘導を引き起こす可能性のある化合物とPXRの相互作用について、インビトロ実験の結果とコンピューター解析を組み合わせることによるインシリコ予測法の確立を目的とした。
研究方法
レポーターアッセイは、ヒト肝がん由来細胞 (FLC7) にレポーターベクターとPXR発現ベクターをトランスフェクションし、Luciferase活性を測定した。凍結ヒト肝細胞は、real-time PCR法によりCYP3A4 mRNA量を定量した。バルビツール酸誘導体に関する構造安定化計算を行い、X線結晶解析により得られたPXR構造とのドッキングを行った。
結果と考察
レポーターアッセイの結果、mephobarbital, pentbarbital, hexobarbital, cyclobarbital, amobarbital, phenobarbiotalにより有意に活性が上昇した。 一方、barbitalおよびprimidoneは活性上昇を示さなかった。この結果より、バルビツール酸誘導体に関しては側鎖の疎水性がPXRの活性化に必要と考えられた。また、primidoneとphenobarbitalは遠位(2位)のカルボニル基以外は共通した構造であるが、phenobarbitalのみがPXRを活性化した。このことより、遠位(2位)のカルボニル基がPXRの活性化に重要と考えられた。Mephobarbitalおよびphenobarbitalは、ヒトヘパトサイトにおけるCYP3A4 mRNA発現量を有意に増加させたのに対してbarbitalは増加させず、レポーターアッセイで得られた結果と類似した傾向を示した。コンピューター計算により、3つの水素結合形成基 (Ser247の水酸基、Gln285のカルボキシル基、His407の窒素原子) および2つの疎水性残基であるフェニルアラニン (Phe251、Phe429) がPXRとの結合に重要であることが示唆された。
結論
本研究では、バルビツール酸誘導体の構造的特徴とPXR活性化作用との関係について検討し、PXRの活性化に重要となる化合物の構造を明らかにした。また、コンピューター計算により化合物と相互作用するPXRのアミノ酸残基を推定した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-