向精神薬のSNPs解析による有効性・安全性に関する研究

文献情報

文献番号
200400939A
報告書区分
総括
研究課題名
向精神薬のSNPs解析による有効性・安全性に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 亮太(国立精神・神経センター 神経研究所 疾病研究第3部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
向精神薬の特徴として、患者によって治療への反応性が大きく異なり重大な副作用を生じる可能性が少なくないにもかかわらず、薬物選択の基準となる客観的な指標やエビデンスは殆どなく、医療者の「経験と勘」に基づいて行われていることが挙げられる。したがって本研究では、ゲノム情報を用いて、抗精神病薬、気分安定薬そして抗うつ薬の治療反応性と重大な副作用と関連する遺伝的要因について明らかにすることで、あらかじめ薬効や重大な副作用発現の予測を行い、オーダーメード医療の実現に向けた知見を得ることを目的とする。
研究方法
国立精神・神経センター武蔵病院にて、統合失調症の患者様をリクルートし、向精神薬の有効性や副作用などの薬物応答のデータを収集した。また、躁うつ病に関しては、全国的な共同研究組織(気分安定薬治療反応性共同研究プロジェクト)を構築しデータ収集を行った。本研究は、国立精神・神経センター武蔵地区倫理審査委員会において承認を受けており、それに基づいて、試料提供者への説明とインフォームド・コンセントを行った。
結果と考察
向精神薬の有効性や副作用などの薬物応答は、精神疾患に関連する遺伝子において認められる可能性があることから、統合失調症、双極性障害、うつ病のそれぞれの疾患に関連する遺伝子を同定した。統合失調症においては、ディスバインジン遺伝子(Hum Mol Get, 2004)やChemerin2遺伝子との関連(Schizophrenia Res, 2005)、双極性障害においては、BCR遺伝子との関連(特許出願、Biol Psychiat,2005)、うつ病に関しては、p75との関連(Am J Med Genet, 2004)を報告した。最後に、双極性障害の病態メカニズムに関連していると考えられているBDNF(脳由来神経栄養因子)のval66met多型とリチウムの治療反応性との関連を検討したが、関連が認められなかった。
結論
本研究の一年目において基盤となる向精神薬の有効性や副作用などの薬物応答のデータとそのDNAの収集と向精神薬の有効性や副作用などの薬物応答に影響を与えると考えられる機能性精神疾患に関連する遺伝子の同定において成果があった。さらに、双極性障害における薬物応答と遺伝子多型の関連について検討を行ったが関連は認められなかった。これらの成果を元に、来年度以降、薬物応答に関連する遺伝子を見出すことが可能となることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-