アポトーシス関連分子EATの機能制御によるES細胞の増殖・分化培養法の開発

文献情報

文献番号
200400938A
報告書区分
総括
研究課題名
アポトーシス関連分子EATの機能制御によるES細胞の増殖・分化培養法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大喜多 肇(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
EAT遺伝子は、研究担当者らが胎児性癌細胞から単離した遺伝子で、Bcl-2関連分子でありアポトーシス抑制作用を有する。本遺伝子はマウスのモデル系において膵ランゲルハンス島β細胞の維持に重要であると考えられている。これらの基礎成果をさらに発展させ、EAT分子の機能を、特に胚性幹細胞(ES細胞)の増殖・分化ならびに膵β細胞への分化に着目して解明することを目指すことが、ヒトES細胞を含む幹細胞を用いた再生医療の推進に役立つと考えられる。
研究方法
Cre-loxPシステムを用いてEAT遺伝子をマウス個体、ES細胞においてコンディショナルにノックアウトする。EATのexon 1をloxPで挟むような変異と選択マーカーを有するターゲッティング・ベクターを導入することによりES細胞の一方の対立遺伝子に変異を導入した。これらのES細胞をマウス初期胚へ注入しマウスを作製した(3loxマウス)。同マウスをCre recombinaseを発現するトランスジェニック・マウス(MeuCre40マウス、CAG-Creマウス)と交配することによりEATのexon 1が破壊されたマウスやEATのexon 1の両端にloxP配列が挿入されたマウス(floxマウス)を得て、その表現形を検討した。
結果と考察
ES細胞のEAT遺伝子の一方の対立遺伝子に変異を導入することに成功し、他方の対立遺伝子に変異を導入する準備を行っている。3ラインの3loxマウスを確立し、MeuCre40マウス、CAG-Creマウスと交配することによりEATのexon 1が破壊されたマウスとfloxマウスを得た。これらのヘテロ接合性のマウスには、臓器の形態、大きさや組織像等に明らかな異常は認めらなかった。このことはEATが通常の1/2であってもマウスは、正常に発生・分化することを示している。現在、floxマウスと臓器特異的Creトランスジェニック・マウスを交配することにより、コンディショナル・ノックアウトマウスを作成中である。
結論
ES細胞に発現しアポトーシスを調節する分子であるEATのノックアウト・マウスを作製した。ヘテロ接合性のマウスは、ほぼ正常の表現形を示し、EATは一方の対立遺伝子のみで発生、分化に充分と考えられた。さらに、臓器特異的にEATを欠失したマウスを作製中である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-