吸血昆虫唾液腺生理活性物質の特性解明と創薬への応用に関する研究

文献情報

文献番号
200400937A
報告書区分
総括
研究課題名
吸血昆虫唾液腺生理活性物質の特性解明と創薬への応用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
伊澤 晴彦(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、吸血性昆虫や吸血性ダニの唾液腺に含まれ、動物の血液や血管系あるいは皮下組織に特異的に作用する新規生理活性物質を網羅的に探索し、それらの分子構造・活性特性・作用メカニズムを解明し、これら有用活性分子を新規な医薬の素材として開発・利用することを目的とする。
研究方法
感染症媒介ベクターとして重要な衛生害虫である5種の吸血性節足動物(ステフェンスハマダラカ、ブラジルサシガメ、フタトゲチマダニ、ヒトスジシマカ、カズキダニ)を研究材料として、本年度はこれらの唾液腺蛋白質遺伝子の網羅的解析と生理活性のスクリーニングに用いる組換え蛋白質の作製を行った。すなわち、1)それぞれの唾液腺mRNAの抽出とcDNAライブラリー作製による唾液腺発現遺伝子の網羅的クローニング、2)ランダムに採取した唾液腺由来cDNAクローンの大量解析、および遺伝子構造の同一性・類似性・高発現性を指標にした唾液腺発現遺伝子の分類と整理、3)各種蛋白質生産系による主要な唾液腺分泌型蛋白質の組換え体の発現、ならびにHPLC等によるこれら組換え蛋白質の高純度精製を行った。
結果と考察
それぞれの吸血昆虫・ダニから数百から数千個の唾液腺cDNAの塩基配列を決定した。これら唾液腺cDNAデータベースの解析から、各生物種の唾液腺で特異的に高発現している分泌型蛋白質を複数同定することができた。これら遺伝子のほとんどは構造的に全く新規な蛋白質をコードしており、吸血時におけるそれぞれの唾液腺分子の特異で新規な生理活性が予想された。
結論
これまで行われてきた活性を指標にした生理活性分子の精製に比べて、本研究での遺伝子大量解析手法では、少ない初期材料から効率的に多種多様な生理活性候補分子を得ることができた。これらから次年度以降に予定している生理活性のスクリーニングにかける候補分子(唾液腺で発現量が高い分泌型蛋白質をコードする遺伝子)を複数選抜した。現在、これら一部の遺伝子に関しては、生理活性検定に用いる組換え蛋白質の作製と精製を順次進めている。

公開日・更新日

公開日
2005-04-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-