Toll様受容体(TLR3)を介したミクログリア活性化機序の解明と脳炎治療薬開発のためのハイスループット試験系への応用

文献情報

文献番号
200400935A
報告書区分
総括
研究課題名
Toll様受容体(TLR3)を介したミクログリア活性化機序の解明と脳炎治療薬開発のためのハイスループット試験系への応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
中道 一生(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ウイルス侵襲に対する脳内の防御免疫は病原体の排除に働くが、過剰な炎症反応は脳機能障害を惹起し、致死的病態や後遺症発生の要因となる。ミクログリアは中枢神経系に常在するマクロファージ様細胞であり、脳内の免疫応答や炎症反応に深く関与する。本研究は、ウイルス感染において共通の分子パターンであるTLR3リガンド(二本鎖RNA)に対するミクログリア活性化機序を基盤として、炎症性応答を迅速かつ簡便に測定するための試験系を確立し、脳炎治療薬のハイスループット探索技術として応用することを目的とする。
研究方法
(1)マウス由来ミクログリアを二本鎖RNAにて処理し、炎症関連遺伝子群を対象とした包括的な発現プロファイリングを行った。(2)二本鎖RNA処理した細胞から蛋白質を抽出し、細胞内シグナル伝達分子のリン酸化をウェスタンブロット法により調べた。(3)狂犬病ウイルス(RV)を細胞に感染させ、遺伝子発現様式及びシグナル分子のリン酸化を上記の手法により解析した。(4)マウスの末梢部位にRVを接種し、ウイルス侵襲に伴う脳内の遺伝子発現応答を上記と同様の手法により解析した。
結果と考察
二本鎖RNA処理したミクログリアでは、炎症性サイトカイン並びにケモカインの発現が誘導されること、とりわけCXCL10の発現が細胞活性化の最初期から高いレベルで応答することが分かった。二本鎖RNA処理したミクログリアでは、NF-kB及びMAPキナーゼが刺激直後から活性化し、CXCL10の高発現を誘導することを明らかにした。さらに、二本鎖RNAに対するミクログリアの遺伝子発現応答及び細胞内シグナリングは実際のウイルス感染においても生じうることを示した。二本鎖RNAに対するミクログリアの遺伝子発現及び細胞内シグナリングは、(1)活性化の最初期に誘導される、(2)刺激後も高いレベルで維持される、(3)実際のウイルス感染においても誘導される等の利点を有することから、ミクログリアの炎症性応答を高感度かつ迅速、安全に測定するための分子マーカーとして応用することが可能である。
結論
ウイルス感染に共通の分子パターンに対するミクログリア活性化の指標となる炎症性応答マーカーを特定した。

公開日・更新日

公開日
2005-03-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-