機能性精神疾患のハイスループットSNPs解析と機能解析による創薬標的分子の解明

文献情報

文献番号
200400928A
報告書区分
総括
研究課題名
機能性精神疾患のハイスループットSNPs解析と機能解析による創薬標的分子の解明
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
功刀 浩(国立精神・神経センター神経研究所(疾病研究第三部))
研究分担者(所属機関)
  • 尾崎紀夫(名古屋大学大学院医学系研究科(精神医学))
  • 橋本亮太(国立精神・神経センター神経研究所(疾病研究第三部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
13,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
統合失調症の入院患者数は20万人を超え、あらゆる病気のなかで最も多い。躁うつ病は年間3万人を超える自殺者の主要原因である。従ってこれらの疾患の本態を解明し、新しい治療法を確立して病気を克服することは、厚生労働行政上重要な課題である。本研究はハイスループットな一塩基多型(SNPs)解析を行い、発病危険性を高める遺伝子変異を同定し、創薬標的分子を解明することを目的とする。
研究方法
分担研究として、①ゲノムワイドな関連解析、②神経発達や可塑性、ストレス応答において重要な遺伝子に関するSNPs解析、③GABA系遺伝子の解析を行った。
①は統合失調症患者30名のゲノムDNAを用いて、Affymetrix 社のGene Chip Assayを用いて5万SNPsについてスクリーニングした。
②はSNPsのデータベースの中からミスセンス多型とプロモーター領域多型を中心に抽出してTaqMan法によるタイピングを行った。
③GABAA受容体α1サブユニット遺伝子(GABRA1)を統合失調症と覚醒剤使用障害の候補遺伝子として関連解析を行った。
(倫理面への配慮)文部科学省、厚生労働省、経済産業省の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を遵守した研究計画書を作成し、研究施設での倫理委員会において承認を受けた上で研究を行った。試料提供者への説明とインフォームド・コンセント、個人情報の厳重な管理(匿名化)などを徹底した。
結果と考察
①統合失調症患者30名分のGeneChipデータについては、call rateが全て96%以上と良好な精度を示した。②およそ200のSNPsについて解析した結果、一次、二次サンプルにおいて精神疾患と有意に関連していた遺伝子を5個同定した。③GABRA1遺伝子と覚醒剤使用障害との間に有意な関連を認めた。これらの分子は精神疾患の創薬標的分子であることが示唆される。
結論
ゲノムワイドな関連解析(5万SNPs)の予備的検討を行い、良好な成績が得られた。次年度にサンプル数を増やして検討することにより、関連のあるSNPsを同定することが可能である。また、候補遺伝子アプローチとTaqMan法などによる解析によって、精神疾患との有意な関連を示す遺伝子を6個同定した。これらは創薬標的分子であり、今後は、細胞生物学的な機能解析を行い、病態メカニズムを明らかにしていく価値がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-