変異を克服した画期的抗ウイルス薬の開発

文献情報

文献番号
200400927A
報告書区分
総括
研究課題名
変異を克服した画期的抗ウイルス薬の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
野口 博司(静岡県立大学)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 康夫(静岡県立大学)
  • 古田 巧(静岡県立大学)
  • 池田 潔(静岡県立大学)
  • 鈴木 隆(静岡県立大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
人類が制圧できない強力な伝播力、変異能力を持つ様々なウイルスが存在し、それらによるウイルス感染症は大きな脅威であり、制圧されなければならない。本研究では、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、デングウイルスなど人類にとって重要な感染症を起こすウイルスに対する有効な薬剤の開発を目的とする。
研究方法
スペイン風邪インフルエンザウイルスはリバースジェネティクスの手法を応用し、再生に成功した。ウイルスの感染に必至な受容体結合特異性をアッセイする系、感染阻害活性を測定する上のプローブを作成した。さらに、ウイルス膜蛋白質に高親和性を持つと考えられる化学構造を選び出し、その誘導体を合成し、適切なアッセイ系により、その親和性や抗ウイルス活性を評価した。
結果と考察
インフルエンザウイルスの宿主細胞への吸着を阻害する極めて有望な糖脂質(シアリルパラグロボシド)の大量精製の道が開けた。さらに、インフルエンザウイルス感染阻害剤の有力候補を2種見出した。小児で重篤な病状を起こす、パラインフルエンザウイルスのHNスパイクに特異的に作用し、感染を阻害する新規化学合成シアル酸誘導体を見出した。また、有機化学的にインフルエンザウイルスへマグルチニンタンパク質を切断不活化する新しい方法論も開発した。上記の知見は、今後、画期的抗ウイルス薬開発に有効であり、初年度としては、実績がでたと思われる。
結論
1)1918年スペイン風邪原因インフルエンザウイルスの再生に成功し、トリを起源とするスペイン風邪ウイルスがヒト⇔ヒト間で伝播出来るシアロ糖鎖受容体認識特異性に変異していたことを解明した。今回開発したウイルス受容体特異性の測定技術、人工ウイルス粒子作成技術は創薬への応用研究に大きなメリットとなる。2)インフルエンザウイルスの宿主細胞への吸着を阻害する有望な糖脂質(シアリルパラグロボシド)の大量精製の道を開いた。抗インフルエンザ活性を持つ物質を2種類見出した。3)パラインフルエンザI型ウイルスの新規感染阻害剤を開発した.4)ノイラミニダーゼスパイクがウイルスの宿主域の決定、病原性の発現、インフルエンザの世界流行に深く関わる新知見を得た。これらは、創薬へ応用する上で重要である。

公開日・更新日

公開日
2005-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-