外科手術摘出ヒト組織を用いたオーダーメード医療の研究と遺伝多型を考慮したヒト肝細胞の代謝研究への応用に関する研究

文献情報

文献番号
200400926A
報告書区分
総括
研究課題名
外科手術摘出ヒト組織を用いたオーダーメード医療の研究と遺伝多型を考慮したヒト肝細胞の代謝研究への応用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所(安全性生物試験研究センター、薬理部))
研究分担者(所属機関)
  • 上川 雄一郎(獨協医科大学薬理学研究室)
  • 窪田 敬一(獨協医科大学病院消化器外科)
  • 山添 康(東北大学薬学部衛生化学教室)
  • 二宮 真一(産業医科大学 医学部 皮膚科)
  • 嶋田 薫(ファイザー中央研究所薬物動態研究部)
  • 山田 泰弘(田辺製薬株式会社薬物動態研究所)
  • 馬場 隆彦(塩野義製薬(株)新薬研究所)
  • 寺内 嘉章(大日本製薬株式会社開発研究所)
  • 中村 明生(日本新薬(株)開発研究所 薬剤研究部)
  • 田代 智(協和発酵工業(株)医薬研究センター)
  • 岡崎 治(第一製薬(株)創剤代謝研究所)
  • 三浦 慎一(三共(株)薬剤動態研究所)
  • 加藤 基浩(中外製薬(株)富士御殿場研究所)
  • 森田 繁道(サノフィ・アベンティスグループ アベンティスファーマ(株)研究開発本部)
  • 神山 佳輝(山之内製薬(株)創薬研究本部代謝研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
23,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
手術摘出ヒト組織を用いて、疾病関連遺伝子の発現と病態との関連性を調べる。遺伝多型による代謝活性変動を凍結肝細胞で検出できるかどうか検討する。ヒト薬物代謝酵素誘導評価の新技術開発と評価を行う。倫理的・法的に妥当なヒト肝組織入手経路の拡大を計る。
研究方法
気管支喘息患者の末梢血好酸球、C型慢性肝炎、肝癌、および転移性肝癌患者より生検あるいは手術切除検体からmRNAを調製し、薬物動態および疾患関連遺伝子発現を調べた。CYP2C19多型の凍結ヒト肝細胞を用いて薬物代謝活性を測定した。ヒトP450誘導評価系として、ヒトCYP3A4発現マウス、HepG2細胞を用いたCYP3A4/5誘導評価系として三次元高密度培養系を開発した。CYP3A4/5ならびにCYP1A1/2誘導評価系として、不死化ヒト肝細胞Fa2N-4を用いた。中国上海市のRILD社を訪問し、ヒト組織の取扱いの妥当性について実地調査を行った。
結果と考察
cysLT1受容体拮抗薬の作用点は他の炎症性細胞の受容体である可能性を示唆した。C型慢性肝炎患者の肝におけるCYP2B6 mRNAの発現低下と病態との間に関連が認められた。また、HCV陽性肝細胞癌の肝切除後における早期再発のマーカーとして、肝細胞癌組織中のEcad-mRNA発現の低下、OPN-mRNA発現の亢進が有用な指標となることが示唆された。
 CYP2C19 PM患者由来凍結ヒト肝細胞を用いることにより、臨床における遺伝多型の影響を予測できた。ヒトCYP3A4誘導検出可能なマウスを構築した。HepG2を三次元高密度培養することにより、CYP3A4/5 誘導能が著しく改善された。ヒト不死化肝細胞Fa2N-4は、CYP3A4/5 およびCYP1A1/2 誘導評価に使用可能であると考えられた。これらのin vivoおよびin vitro ヒトCYP誘導評価系は、創薬開発の初期段階において、有用なツールとなることが期待された。
 RILD社のヒト組織提供は上海政府の定めた倫理的に妥当な手順によると思われたが、日本での入手には上海政府および/あるいは中央政府の承認を得ることが必要である。
結論
手術摘出組織の疾病関連遺伝子解析は、病態重篤度に合わせた医療と早期診断による予防医療に、極めて有用と思われた。CYP3A4誘導を検出可能なin vitroおよびin vivo試験系を開発した。

公開日・更新日

公開日
2005-06-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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