ケミカルゲノミクスによる難治固形癌に有効な主要抗癌剤の薬効貢献分子の探索と発見された分子を標的とする次世代抗癌剤の開発

文献情報

文献番号
200400925A
報告書区分
総括
研究課題名
ケミカルゲノミクスによる難治固形癌に有効な主要抗癌剤の薬効貢献分子の探索と発見された分子を標的とする次世代抗癌剤の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
西尾 和人(国立がんセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 水上 民夫(長浜バイオ大学バイオサイエンス学部)
  • 関島 勝((株)三菱化学安全科学研究所)
  • 大川原 正(熊本大学大学院医学薬学研究部)
  • 山田 康秀(国立がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臨床サンプルにおける胃癌の治療標的分子の同定をおこなう。代謝拮抗剤等主要抗癌剤の新規薬効貢献因子をケミカルゲノミクスの手法を用いて探索し、分子標的抗癌剤を探索する。
研究方法
(1)化合物ライブラリー合成
タモキシフェン、5FU、ゲフィチニブ等にリンカー鎖を結合し、固定化リガンドを合成した。
(2)抗癌剤固定化アフィニティクロマトグラフィーによる結合蛋白質の精製
タモキシフェンの代謝活性体4-OHTへ一級アミンを導入し、ゲルへの固定化と標的分子であるエストロゲン受容体との結合の有無を検討した。
ビオチン-アビジン系を介し5-FUとその誘導体を固定化したアガロースビーズカラムを作成、癌細胞抽出溶液中の結合分子の同定をおこなった。
(3)内視鏡生検胃癌組織における抗癌剤感受性規定因子の検討
国立がんセンター中央病院において「胃がんにおける抗癌剤感受性規定因子の検討」の臨床試験付随研究として、内視鏡下生検、末梢血を採取、精製、保管した。GeneChip(U133 Plus 2.0)を用い遺伝子発現解析をおこなった。
結果と考察
(1)化合物ライブラリー合成
4-アミノブチルタモキシフェンおよび4-アミノブチル5FUなど5FU誘導体の合成をおこなった。
(2)抗癌剤固定化カラムによる結合蛋白質の精製
Affi-Gel 10 を用いTam-NH2のアフィニティカラムを作成した。細胞抽出液中のエストロゲン受容体とタモキシフェンとの結合を確認した。5-FU誘導体固定化カラムを用い癌細胞株細胞抽出溶液中の結合分子の同定を試みた。80kDa付近の5-FU誘導体の結合蛋白質を検出した。
(3)内視鏡生検胃癌組織における標的因子の検討
「胃癌における抗癌剤感受性規定遺伝子の検討」の登録を開始し、3月現在、41例を登録、内視鏡検体234、血液検体122を採取、保存した。
同検体の遺伝子発現解析をおこない、代謝拮抗剤関連遺伝子群30遺伝子の発現を検討し、同群遺伝子、特に6遺伝子の癌部での発現亢進を示した。
胃癌部で発現の異なる新規の30遺伝子を選択した。遺伝子Aは蛋白質レベルの発現亢進が確認され、分化に関連すると示唆された。胃癌治療標的として新規遺伝子Bを選択、発現の確認を行った。
今後、カラムの最適化の後、臨床検体の測定を行う。新規結合物質、遺伝子のスクリーニング系の構築をおこなう。
結論
代謝拮抗剤などの主要抗癌薬を固定化したアフィニティカラムの作成が可能となった。同時に臨床サンプルの集積が順調に推移している。

公開日・更新日

公開日
2005-05-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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