天然抗酸化剤を利用した創薬化学

文献情報

文献番号
200400915A
報告書区分
総括
研究課題名
天然抗酸化剤を利用した創薬化学
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
福原 潔(国立医薬品食品衛生研究所(有機化学部))
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 聡(持田製薬株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
1,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
可食植物からの抗酸化成分の探索とその評価方法ならびに品質評価方の明確化を行うとともに、抗酸化成分の有効性、安全性の評価手法を開発する。また、本手法を用いることによって可食成分からの新規抗酸化成分の探索、および安定供給が可能な天然抗酸化物質を利用して疾病の治療および予防目的に応じた誘導化をおこない、医療への利用が可能な新しい予防物質を開発する。
研究方法
1) 可食植物の資源確保、抗酸化成分を含む植物エキスの製造方法、植物エキスに含まれる抗酸化成分及び機能性成分の分析方法ならびに品質確保の方法、植物エキスの機能性試験及び安全性試験の選択方法について調査し、実施した。
2) カテキンにアルキル鎖を有するケトンを反応させて平面型カテキン誘導体を合成した。抗酸化能はDPPHラジカルを用いた紫外可視分光光度法およびAAPH由来のペルオキシルラジカルを用いた化学発光法によって解析した。酸化的DNA損傷反応に対する防護作用はpBR322DNAを用いて、平面型カテキン誘導体存在下、Fenton反応系でのヒドロキシルラジカルによるDNA側鎖切断反応をアガロースゲル電気泳動で解析して調べた。
結果と考察
1) 可食植物約6種の未利用部位から含水エタノール抽出、樹脂精製を経てポリフェノール分画を調整した。抗酸化能(DPPH、ESRなど)を指標とし、①収率がよいこと(>3%)、②生活習慣病の予防に関する機能性in Vivoスクリーニング試験(糖負荷試験、中性脂肪負荷試験)、③食品の機能性(水溶性、味覚)に優れること、④資源確保が可能であること等の観点から事業化の可能性がある植物エキス2種を選別できた。
2) 代表的な天然フラボノイドであるカテキンを医薬品シーズとして抗酸化能の増強と体内への吸収効率の向上を目的とした誘導化を検討し、カテキンの立体構造の平面固定化反応を利用してアルキル鎖が導入された脂溶性平面型カテキン誘導体を合成した。本化合物は天然カテキンと比べて強力な抗酸化活性を有し、またアルキル鎖の長さによって抗酸化活性と脂溶性を調節できることがわかった。
結論
天然抗酸化物質の生活習慣病に対する予防効果に着目して、広く国民に信頼される有効性・安全性をもった特定保健用食品、あるいは生活習慣病の予防または治療に有効な医薬品の開発に資する研究を行い、今年度は事業化の可能性がある植物エキス2種を選別できた。また、天然カテキンについて抗酸化能および体内吸収効率の向上を目的とした誘導体の合成に成功した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-