血管新生の制御による虚血系疾患治療薬の開発に関する基礎的研究

文献情報

文献番号
200400914A
報告書区分
総括
研究課題名
血管新生の制御による虚血系疾患治療薬の開発に関する基礎的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
新見 伸吾(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 宏治(三重大学 医学部)
  • 関 泰一郎(日本大学 生物資源科学部)
  • 佐々木 康夫(旭化成ファーマ株式会社 ライフサイエンス総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳血管疾患、血管新生の制御法を探索することにより虚血性疾患治療薬の創出に向けた基礎的知見を得ることを目的として、①トロンボモジュリン(TM)が血管新生に及ぼす作用、②TMが炎症に及ぼす作用を検討するための評価系の構築、③肝細胞において増殖刺激がVEGF及びplasmin産生に及ぼす作用に関する基礎的検討を行った。
研究方法
①TMがマウス乳癌(MMT)細胞の浸潤および走化性に及ぼす作用、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の増殖および管腔形成に及ぼす作用を検討した。②Lipopolysaccharideを投与した雄性カニクイザル血漿中のTNF-α、IL-1β及びIL-6値を測定した。③肝細胞の増殖を肝非実質細胞との共培養、EGF及びinsulin存在下で評価すると共に、VEGF mRNAレベルをEGF及びinsulin存在下で測定した。
結果と考察
①TMによるMMT細胞の浸潤促進にはトロンビンが必要であった。しかし100 pg/mlのTMはHUVECの増殖をヒルジン存在下で促進した。また管腔形成はアルガトロバンの影響を受けず、40 μg/ml のTMにより抑制された。したがって、HUVECにおけるTMの作用は、トロンビンを介さない可能性が示された。②LPSの投与によりTNF-α及びIL-6値が上昇した。特に本評価系におけるTNF-αの測定は、TMによる炎症の評価指標として有用であると考えられた。③肝細胞の増殖が促進された非実質細胞との共培養系においてplasmin、plasminogen activator等の線溶活性の増加がみられた。またEGF、insulinによる増殖刺激に伴いVEGF mRNAレベルが上昇した。したがって肝細胞の増殖時にplasmin及びVEGFの産生を促進し、パラクラインの様式で血管新生を促進する可能性が示唆された。
結論
TMによるMMT細胞の浸潤促進作用にはトロンビンが必要であった。100 pg/mlのTMはヒルジン存在下でHUVECの増殖を促進したが、40 μg/mlではHUVECの管腔形成を抑制した。カニクイザル血漿中のTNF-α値の測定は、TMが炎症に及ぼす作用の評価に有用であると考えられた。肝細胞において増殖刺激に伴いplasminタンパク質及びVEGF mRNAレベルが上昇し、plasminは増殖促進因子として作用した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-