核酸封入ナノカプセルによるウイルス消毒薬、抗ウイルス薬の創薬に関する研究

文献情報

文献番号
200400911A
報告書区分
総括
研究課題名
核酸封入ナノカプセルによるウイルス消毒薬、抗ウイルス薬の創薬に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
武田 直和(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 片山 和彦(国立感染症研究所ウイルス第二部)
  • 小沼 博隆(東海大学 海洋学部)
  • 徳田 一(花王株式会社)
  • 日置 祐一(花王株式会社)
  • 小澤 一弘(中部衛生検査センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ノロウイルス(NoV)ならびにサポウイルス(SaV)は、非細菌性急性胃腸炎の原因ウイルスの一つとして知られている。これらのウイルスに起因する感染症は、公衆衛生の立場から見て脅威であるばかりか、医療費とそれに伴う経済損失は膨大であり、早急な感染防御や予防衛生の対策が求められている。本研究では、既存の消毒薬を用いたNoV、SaV不活化の検討、感染予防方法の構築、新規薬剤のスクリーニングおよび実用化を目指した。
研究方法
NoV、SaV粒子の代わりに、NoV、SaVの構造蛋白質(capsid)領域をバキュロウイルスに組込み、組換えバキュロウイルスを用いた蛋白質発現系によってウイルス様粒子(VLP: Virus like particle)を作出することを試みた。VLPsはウイルス粒子と表面構造がほぼ等しく、モデルとしてウイルス消毒薬の検討にも使用し得る。さらに、その内部にレポーター遺伝子を組み込んだ疑似ウイルス粒子(ナノカプセル)の作出も試みた。VLPをモデルとしてウイルスの不活化効果を評価するため、透過電子顕微鏡(以下、TEMと略)を用いた観察を評価した。
結果と考察
NoVはゲノグループI, ゲノグループIIの2つのゲノグループに分別されている。我々はすでに、これらゲノタイプのうちゲノグループIに対しては43%, ゲノグループIIに関しては76%のVLPsの作出に成功している。本年度はゲノグループIに関してはGI/4,ゲノグループIIに関してはGII/6のVLPを大量に発現させ、VLPの安定性試験に供給した。花王株式会社では、これらのVLPを用いて粒子形状を測定する方法としてTEM観察を施行し、その有用性を確認した。SaVについては、ゲノグループI, II, VのVLP作出に取り組み、世界で初めてSaVのゲノグループIIとVのVLPの作出と精製に成功した。VLPに核酸を内包する技術については、GII/3に属するU201株を用いて検討を行った。U201株のゲノム塩基配列の両端にリボザイムを配置し、昆虫細胞内で完全長ゲノムRNAを転写出来るようにしたゲノム供給用バキュロウイルス、rBV-U201F-Riboと VLPを作出するためのバキュロウイルスrBV-U201ORF23を昆虫細胞に共感染させたが、核酸のVLPへの内包は認められなかった。
結論
VLPとその電子顕微鏡観察は消毒薬の検討に有用である。 VLP内部に核酸を封入するためにはさらなる検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-05-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-