メタボローム解析を基盤とした有用資源植物に関する研究

文献情報

文献番号
200400910A
報告書区分
総括
研究課題名
メタボローム解析を基盤とした有用資源植物に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
木内 文之(国立医薬品食品衛生研究所筑波薬用植物栽培試験場)
研究分担者(所属機関)
  • 斉藤 和季(千葉大学大学院薬学研究院)
  • 田中 良和(サントリー(株)先端技術応用研究所)
  • 妹尾 修次郎((株)常磐植物化学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高感度高分解能分離分析技術を用いて生体成分全体を網羅的に分析し、生体機能の理解に繋げようとするメタボローム解析手法を有用資源植物に適用し、生薬や植物エキス製品の有効性・安全性の評価、品質管理、薬用成分の効率的な生産等に活用するための基礎研究を行う。
研究方法
シロイヌナズナおよびシソのアントシアニン過剰生産変異体等を用いてアントシアニン生産特異的遺伝子のプロファイリングを行った。これらの生産特異的遺伝子について、シロイヌナズナでは各遺伝子のノックアウトラインのメタボローム解析を行い、フラボノイド組成の変化から遺伝子の機能を決定した。また、アカジソ特異的遺伝子については組換えタンパク質を用いた生化学的解析の他に、シロイヌナズナのホモログ遺伝子のノックアウトラインに導入することにより機能を解析した。さらに、イチョウ葉成分の季節変動並びに生育状況がマオウの成分に与える影響について解析した。
結果と考察
シロイヌナズナの変異体で発現上昇している遺伝子を解析することにより、アントシアニンおよびフラボノールの糖転移およびアシル転移を触媒する酵素遺伝子を明らかにした。シソについては、成分変種を用いてアントシアニン生産に関する変種特異的遺伝子をプロファイリングした。シソでは光シグナル伝達以下で想定されるPAP1相当の調節因子による制御より上流において遺伝子発現が制御されることによりアカジソにおけるアントシアニン過剰蓄積に至っていることが明らかになった。また、アントシアニン過剰生産変異体についてアントシアニンおよびプロアントシアニジン含有量とin vitroでの抗酸化活性を測定し、抗酸化活性にはアントシアニンよりもプロアントシアニンが強く寄与することを明らかにした。イチョウ葉中のフラボノイドおよびテルペノイドの含有率は好天に恵まれ、施肥により成長が良い条件では低下したが、固体当りの収穫量は増加した。3カ所の栽培地で2つの生育時期に採取したマオウのサンプルは、FT-MSによる主成分分析で明瞭に区別できた。
結論
植物成分の網羅的解析手法により、アントシアニン等の生合成に於ける遺伝子発現と物質代謝の関連に関する有用な知見を得た。また、成分の網羅的分析が薬用・有用植物の規格、品質管理などに利用できるものであることも明らかになった。メタボローム解析の手法を利用した研究は、有用植物資源の活用に様々な形で応用が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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