脂質輸送を制御する生活習慣病予防薬開発のための基礎的研究

文献情報

文献番号
200400909A
報告書区分
総括
研究課題名
脂質輸送を制御する生活習慣病予防薬開発のための基礎的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
最上 知子(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 横山信治(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 藤本康之(帝京大学薬学部)
  • 坂井 薫(三菱ウェルファーマ(株)創薬第2研究所)
  • 杉本佳奈美(三菱ウェルファーマ(株)創薬第2研究所)
  • 松倉竹雄(グレラン製薬(株)開発研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血管壁マクロファージなどの末梢細胞はコレステロールを分解できないことから、過剰のコレステロールは蓄積し動脈硬化の原因となる。この防止には、コレステロールをHDLの形で運び出し、肝臓に運び胆汁酸に転換し排泄する必要がある。この研究では、末梢細胞でのHDL産生、肝臓でのコレステロール・胆汁酸排出を促進する新たな方法を確立する。
研究方法
HDL形成に必須の役割を果たす膜トランスポーターABCA1に着目し、末梢マクロファージでの発現増加方法を探索した。肝での胆汁酸排出ポンプの発現促進作用を示す脂質メディエーターの探索、ならびに胆汁酸吸着樹脂の新たな生理作用について検討を行った。
結果と考察
HDL産生による末梢細胞からのコレステロール搬出の促進については、カルシウムアンタゴニストverapamilがLXR非依存に、またフェノフィブラートの活性代謝物フェノフィブリン酸はLXR依存的にABCA1遺伝子プロモーターを活性化し蛋白発現量を上昇させ、HDL新生反応を亢進する機序を明らかにした。ABCA1の活性制御について、1)プロブコールによる不活性化、2)ABCA1の転写発現制御に関わるコレステロールコンパートメントはACATとABCA1に供されることを示した。また、脂肪滴形成への構成タンパクアシルCoA合成酵素3(ACS3)の機能を阻害剤Triacsin Cで明らかにした。
肝臓でのコレステロール・胆汁酸排出促進に関して、ハムスターでの胆汁酸吸着樹脂による新規抗肥満作用を見いだした。また、胆汁酸トランスポーターBSEP発現を促進する肝内脂質メディエーターとして、胆汁酸生合成中間体の26-および25-水酸化胆汁アルコール、C27胆汁酸を見いだした。
結論
HDL形成に必須の役割を担うABCA1の発現を遺伝子転写活性・タンパク分解抑制により促進する薬物、細胞内脂肪滴形成を抑制する薬物、肝での胆汁酸排出促進を担う脂質メディエーターを同定するとともに、胆汁酸吸着樹脂による抗肥満作用を見いだした。

公開日・更新日

公開日
2005-05-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-