バイオテクノロジーによるワクチンの創製と改良技術の開発

文献情報

文献番号
200400906A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオテクノロジーによるワクチンの創製と改良技術の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松浦 善治(大阪大学微生物病研究所エマージング感染症研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 森石 恆司(大阪大学微生物病研究所エマージング感染症研究センター)
  • 鈴木 哲朗(国立感染症研究所ウイルス第二部)
  • 伊丹 清馬(三菱ウェルファーマ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまでの成績から、ヒト肝癌由来のHepG2細胞表面にHCVの感染を許容する蛋白質性のリセプターの存在が推測されており、この細胞からHCVのエントリーリセプターのクローニングを進める。HCVの侵入機構を解明できれば、新しい治療薬やワクチンの開発への道が開けるものと思われる。
研究方法
1)水疱性口内炎ウイルス(VSV)のエンベロープ蛋白質の膜貫通領域とHCVエンベロープ蛋白質(E1とE2)のエクトドメインからなるキメラ蛋白質を粒子表面に被ったVSVシュードタイプウイルス粒子(VSV-pp)を構築し、HCVのエントリーリセプターの同定を試みた。2) 各種ウイルス蛋白遺伝子を組み込んだ高度弱毒化ワクチニアウイルスDIs株をマウスに皮下あるいは経鼻投与し、目的蛋白質に対する免疫誘導能の検討を行った。3) NFAT阻害活性を有する Cyclosporine A類似化合物の抗HCV活性を調べた。
結果と考察
1)ヒト繊維芽細胞成長因子(hFGF)、特にhFGF2とhFGF7がVSV-ppの感染を濃度依存的に阻害した。さらに、可溶化したhFGF受容体(hFGFR)の中で、hFGFR4とhFGFR5がVSV-ppの感染性を特異的に阻害した。また、hFGFR4あるいはhFGFR5を恒常的に発現するCHO細胞株は、血清中のHCV粒子を特異的に結合した。特にhFGFR5を発現するCHO細胞株はVSV-ppの感染を許容できるようになり、hFGFR5をHepG2細胞からノックダウンさせると感受性の低下が観察されたことから、hFGFR5がVSV-ppのエントリーリセプターである可能性が示唆された。2) HCV蛋白質を発現する組換えDIsをマウスに接種した場合、いずれの蛋白質に対する抗体も検出されたことから、組換えDIsの投与により目的の組換え蛋白質に対する液性免疫を誘導できることが確認された。また、細胞性免疫も誘導されることを確認できた。3)今回調べた化合物で抗HCV活性を示すものがなかったことから、NFAT阻害作用は抗HCV活性と関連がないと考えられる。
結論
1) hFGFR4はHCVの結合受容体候補分子である。2) hFGFR5はHCVの侵入受容体候補分子である。3) 組換えDIsは効率よく免疫誘導できるベクターである。4) Cyclosporine A類似化合物のNFAT阻害作用と抗HCV活性には関連がない。

公開日・更新日

公開日
2005-05-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-