呼吸器及び腸管粘膜免疫をターゲットとする新しいワクチンデリバリーの開発

文献情報

文献番号
200400904A
報告書区分
総括
研究課題名
呼吸器及び腸管粘膜免疫をターゲットとする新しいワクチンデリバリーの開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
竹森 利忠(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 高須賀 直美(国立感染症研究所 免疫部)
  • 藤猪 英樹(国立感染症研究所 免疫部)
  • 村上 正裕(天籐製薬株式会社 創薬センター)
  • 大西 和夫(国立感染症研究所 免疫部)
  • 五十君 靜信(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 横田 恭子(国立感染症研究所 免疫部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
呼吸器及び腸管粘膜免疫を活性するワクチンデリバリーシステムを開発することを目的とする。またワクチン効果を増強させる手段の構築をはかる目的で、粘膜免疫の活性要因と、免疫記憶の誘導と維持に必要な分子を同定し、有効性、持続性に優れた新規ワクチン開発のための知識と材料を蓄積することを目的とする。
研究方法
新規デリバリーとしてモデル抗原OVA含有架橋型キトサン微粒子(CNP)を作製し、ラットに経口投与し腸管免疫賦活化能を検討した。また弱毒サルモネラ菌ベクターにHIVgagを導入し経口投与しデリバリーとしての活性を検討した。一方、新規腸管デリバリーとして乳酸菌ベクターを開発するため基礎条件を検討した。更にBILLカドヘリンの粘膜免疫に対する活性をBILL遺伝子欠損マウスを用いて評価した。
結果と考察
作製したモデル抗原OVA含有架橋型キトサン微粒子のラットへの経口投与により腸管粘膜において抗OVA IgG抗体の産生を認め、粘膜免疫指向的な免疫腑活化能を有することを明らかにした。またHIVgag抗原組込みサルモネラ菌ベクター経口投与により、低レベルではあるがIgG抗体、IgA抗体産生が誘導され、また経鼻免疫後にサルモネラ菌ベクターを経口投与すると著明なブースター効果が誘導されることが明らかとなった。新規乳酸菌ベクター開発に関しては、溶血活性を失ったリステリオリシンの組込みが免疫活性に必要な自然免疫反応の上昇を促すことを明らかにした。一方、免疫担当Bリンパ球と腸管上皮に発現するBILLカドヘリン分子の機能を遺伝子欠損マウスを作製し解析したところ、BILLカドヘリンがB1細胞の動態とサルモネラ菌の腸管細胞侵入に関与することが示唆された。
結論
モデル抗原含有キトサンナノ微粒子を腸溶性シームレスミニカプセルに充填し作製したワクチンデリバリーが粘膜免疫指向的な免疫賦活能を有することが明らかとなった。また弱毒サルモネラ菌をワクチンデリバリーとして用いるとIgA抗体産生の誘導と粘膜部位T細胞活性に対するブースター効果を促し腸管免疫の活性を上昇させることを明らかにした。また新規乳酸菌ベクター開発のための基礎資料を得た。

公開日・更新日

公開日
2005-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-