気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)重症化機序の分子細胞システムとしての理解に基づく新たな制御方法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400903A
報告書区分
総括
研究課題名
気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)重症化機序の分子細胞システムとしての理解に基づく新たな制御方法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松本 健治(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤博久(理化学研究所免疫アレルギー科学総合研究センター)
  • 山名研司郎(日研化学株式会社医薬研究所)
  • 福田好晃(株式会社第一サントリー生物医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)における組織の非可逆的な変化(リモデリング)の発症機序や病態を網羅的な遺伝子の発現解析法を用いて解析し、組織全体、細胞全体のシステムとして理解した上で、責任分子群を制御することによる特異的なアレルギー疾患の治療法を開発することを最終目標とする。
研究方法
1. 気道上皮細胞をサイトカインで刺激後、約22,000種類の遺伝子発現をAffymetrix社製Microarrayを用いて定量し、統計学的な解析を行った。
2. 小児気管支喘息患児の非発作時の末梢気道閉塞に関与する因子について、呼吸機能検査結果と治療歴や経過との関係から検索した。
3. 培養マスト細胞をIgEで感作後抗IgE抗体で刺激し、遺伝子発現を網羅的に解析した。またステロイドの影響を検討し、さらに標的分子の機能を喘息患者肺生検組織で検討した。
4. LPS慢性暴露によるCOPD様の慢性好中球性炎症モデルを作成、マウス肺における網羅的な遺伝子の発現解析を行った。
5. マウス好酸球の組織浸潤を誘導する系を確立し、遊走した細胞分画中の好酸球を各種抗体を用いて純化を試みた。
結果と考察
1. サイトカイン刺激によって異なった種類のケモカインやプロテアーゼ産生が認められ、ステロイドはこれらの分子の誘導を部分的に抑制した。
2. 末梢気道閉塞を反映する%V25が経時的に低下する児において、拘束性の傷害が惹起されていることを明らかにした。
3. マスト細胞においてアンフィレギュリンがステロイド抵抗性炎症に関与し、さらにこの分子が喘息患者肺マスト細胞に大量に存在し、喀痰分泌症状と相関することを明らかにした。
4. 慢性好中球性炎症でケモカインやプロテアーゼだけでなく多彩な遺伝子が変動すことを明らかにした。
5. 感作後、抗原の腹腔内投与によるマウス好酸球浸潤の系が確立した。また免疫ビーズ法とFACS sortingによるマウス好酸球の単離法が確立した。
結論
気管支喘息やCOPDの病態に特異的な遺伝子の発現解析の系や好中球性炎症モデル、好酸球浸潤モデルなどを確立した。網羅的な遺伝子発現解析はいわゆるSystems biology解析の重要な手法となることが強く示唆された。以上の成果は初年度の計画にほぼ沿った進捗状況であり、平成17年度以降の更なる発展が期待できる結果と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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