C型肝炎ウイルスの感染・複製系の確立とその応用による抗ウイルス療法の開発

文献情報

文献番号
200400898A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎ウイルスの感染・複製系の確立とその応用による抗ウイルス療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
脇田 隆字(東京都神経科学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 溝上雅史(名古屋市立大学・大学院医学研究科)
  • 勝二郁夫(国立感染症研究所・ウイルス第二部)
  • 曽根三郎(東レ株式会社医薬研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HCVは世界中で17000万人にのぼる感染者が存在する。多くの症例で慢性肝炎から肝細胞癌を発症する。新たな治療法の開発が望まれている。本研究の目的は劇症肝炎患者から分離したJFH-1株を用いて、培養細胞におけるウイルスRNA複製系および感染系を確立し、その機構を解析し、新たな抗ウイルス戦略の構築に供することである。
研究方法
HCVの全長RNAによるウイルスゲノムの複製の解析
全長ウイルスゲノムのレプリコンの作製
JFH-1株の複製に関与する領域の解析
バイオリアクター培養系によるJFH-1株複製細胞の培養
結果と考察
JFH-1の全長RNAをHuh7細胞に導入するとウイルスRNAが複製増殖した。その細胞の培養液中にはウイルス粒子が分泌された。ウイルス複製および粒子形成に関与する細胞性の因子の解析に重要な知見である。
 試験管内で合成したJFH-1の全長レプリコンRNAをHuh7細胞に導入し、レプリコン細胞を樹立した。レプリコン細胞内では、レプリコンRNAが複製増殖していた。
 J6株由来のレプリコンではコロニーの生成が全く認められなかった。JFH-1株とJ6株を入れ換えたキメラレプリコンの解析により、非構造領域遺伝子の一部と非翻訳領域遺伝子がJFH-1株の複製に重要であると考えられた。
 RFBシステム内でHuh7細胞を維持することが可能であった。そこでRFB培養系によりHCV RNAレプリコン細胞を培養させたところ、良好な細胞増殖が得られた。培養上清を回収し、ウイルス粒子形成について解析を始めた。RFBシステムでHuh7細胞を長期培養するためには、培地、培養温度、三次元培養カラム内に充填する担体の材質等をさらに詳細に検討する必要がある。
 回収した培養液を遠心処理で細胞や細胞の破片などを取り除いた。遠心後の培養液はフィルターで濾過した。濾過後の培養液を、限外濾過により低分子の夾雑物を取り除き濃縮した。さらにしょ糖の密度勾配遠心で分画することによりウイルス粒子を濃縮精製した。
結論
JFH-1株の全長のウイルス遺伝子の複製実験系およびウイルス粒子の形成系を構築した。また、JFH-1株の全長のウイルス遺伝子を持つレプリコンによるウイルス粒子の形成およびウイルスの感染実験系を構築した。これによりウイルス粒子の形成および分泌過程の研究、ウイルス感染に必要なレセプターのクローニングなどの研究が可能となり、その成果を利用して新たな抗ウイルス療法や予防法の開発が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-