臍帯血移植患者へのドナーリンパ球輸注療法(DLI)の実用化

文献情報

文献番号
200400896A
報告書区分
総括
研究課題名
臍帯血移植患者へのドナーリンパ球輸注療法(DLI)の実用化
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 成悦(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 清水則夫(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
  • 森尾友宏(東京医科歯科大学医学部)
  • 清河信敬(国立成育医療センター研究所)
  • 熊谷昌明(国立成育医療センター)
  • 麦島秀雄(日本大学医学部)
  • 加藤剛二(名古屋第一赤十字病院)
  • 関根暉彬(株式会社リンフォテック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臍帯血移植患者に対して、活性化臍帯血T細胞を用いたドナーリンパ球輸注療法を実用化するために基礎研究を行った。
研究方法
1.臍帯血T細胞活性化培養法:臍帯血より比重遠心法により単核細胞を分離し、ヒト血清とIL-2を加えたRPMI-1640培地を用い、抗CD3抗体を固相化したフラスコで培養した。
2.活性化臍帯血T細胞の性状解析:①フローサイトメトリー(FCM)による細胞表面マーカーおよびT細胞抗原受容体(TCR)レパートリーの解析、②ELISA法によるサイトカイン産生の検討。
3.免疫不全マウスを用いたモデル実験:NOGマウスに臍帯血由来CD34陽性細胞を移植しヒト免疫系細胞を再構築した。また、ヒトウイルス感染モデル作製のための予備実験を行った。
結果と考察
1.臍帯血T細胞活性化培養法の検討:10%ヒト血清および700 u/ml IL-2を添加した培養液と抗CD3固相化フラスコを用いて、CD4陽性T細胞を10E9個程度まで活性化・増幅することが可能であった。
2.活性化臍帯血リンパ球の性状解析:培養開始後2?3週間の細胞をFCMにより解析したところ、CD2+、CD3+、CD38+、CD69+、CD71+、HLA-DR+の活性化T細胞のフェノタイプを示した。また、24種類のVβ遺伝子発現を検討したところ、明らかなTCRレパートリーの偏りは認められなかった。活性化臍帯血T細胞からは、IFN-γ、IL-8、TNF-α、IL-2、IL-10、RANTES、TGF-βの産生が認められた。
3.マウスを用いたモデル実験:臍帯血よりCD34陽性細胞を選択してNOGマウスに静注することにより、高率に造血細胞が生着しB, T細胞およびマクロファージの分化が確認された。また、骨髄、脾臓、胸腺においてヒト免疫不全症ウイルス(HIV)のリセプター(CD4)およびコリセプター(CXCR4, CCR5)の発現が認められ、同ウイルスの感染モデル作製の可能性が示された。
結論
臍帯血から、数週間の培養により10E9程度の活性化CD4陽性細胞を得ることを可能とする培養法を確立した。臍帯血幹細胞を移植したNOGマウスにおいて、ヒト免疫系細胞が再構築され、HIV感染モデルの作製が可能であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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