臨床薬理学的視点による薬効ゲノム情報活用のための基盤研究

文献情報

文献番号
200400893A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床薬理学的視点による薬効ゲノム情報活用のための基盤研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
東 純一(大阪大学)
研究分担者(所属機関)
  • 横田 総一郎(国立療養所刀根山病院)
  • 坂谷 光則(国立療養所近畿中央病院)
  • 大橋 京一(大分大学)
  • 景山 茂(東京慈恵会医科大学・総合医科学研究センター)
  • 岩田 宙造(薬効ゲノム情報株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
19,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、臨床薬理学的な治療上のエビデンスを創成するための指針となる成果を提供することおよびそれら臨床研究を支える基盤を整備することである。
研究方法
臨床的な表現型として肝障害を取り上げ、モデル薬物として結核治療薬イソニアジド、解熱鎮痛薬アセトアミノフェン、肺高血圧症治療薬ボセンタンを対象とした。疫学調査の結果に基づき、適切なPGx /TGx試験の実施にむけた諸問題を検討する。遺伝子解析に関わる文書同意が得られた被験者に対し候補分子の遺伝的多型を解析し、臨床試験時の肝機能の変化等との関連を解析する。
結果と考察
肺結核患者を対象にNAT2遺伝子解析を伴う前向き比較試験プロトコールの作成と予備検討を行った。まず、RAタイプ患者における忍容性試験を行い、安全性を確認し、多施設共同臨床研究のために専用通信回線を有するネットワークを構築した。また、NAT2以外の副作用関連分子について予備検討を行った。さらに、グローバルな検討のため、ドイツおよびインドの研究者との共同研究を開始した。アセトアミノフェンについては、予備調査を行い、肝障害に関連する候補分子を選定した。ボセンタンについては、本邦での発売開始に併せて11施設で疫学調査を開始するため、研究体制の構築と共に、治験参加被験者を対象に遺伝子解析用の検体および肝機能を含む血液生化学的検査値の収集を開始した。また、候補遺伝子のSNPs検索条件を設定した。
結核治療開始前に各個人のNAT2遺伝子型を判定し、投与法を決定する臨床試験を行うには、様々な障害が存在した。今回、これらの問題点を解決し、プロトコールの確定に漕ぎ着けたことは、今後の同様の臨床研究に一つの方向性を示すものである。また、肺高血圧症という稀な疾患の治療薬であるボセンタンの有害作用に関する研究では、市販後の副作用調査の一貫として、調査研究に遺伝子多型因子の解析を加えようとしている点で、貴重な臨床事例とみなされるものである。
結論
副作用に対する対応は薬剤毎に異なると予想されるが、調査研究、対象者を限定した臨床研究、より有効な治療法の策定のための遺伝子型に基づく検証的臨床試験を順次行うことが望まれる。良質な臨床研究の成果を得るためには、遺伝子解析を伴う臨床研究の方法論の吟味とそれを行えうる環境の整備が必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-