プロテオミクス及び構造生物学的アプローチ等を用いたバイオ医薬品の特性解析・品質評価技術の開発

文献情報

文献番号
200400891A
報告書区分
総括
研究課題名
プロテオミクス及び構造生物学的アプローチ等を用いたバイオ医薬品の特性解析・品質評価技術の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 川西 徹(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 石川 リカ(キリンビール株式会社医薬カンパニー生産本部)
  • 名渕 義明(中外製薬株式会社生物技術研究部)
  • 菅原 敬信(財団法人化学及血清療法研究所)
  • 山口 秀人(山之内製薬株式会社創薬研究本部)
  • 秋丸 仁朗(住友製薬株式会社製剤研究所)
  • 内田 和久(協和発酵株式会社東京研究所)
  • 長谷 純宏(大阪大学大学院理学研究科)
  • 掛樋 一晃(近畿大学薬学部)
  • 加藤 晃一(名古屋市立大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
17,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
バイオテクノロジー応用技術の進歩により、様々なタンパク質がバイオ医薬品として開発されている。本研究の目的は、プロテオミクスや構造生物学の高度な分析技術をバイオ医薬品の特性解析・品質評価に活用し、バイオ医薬品研究開発、品質評価、及び品質管理の迅速化・簡便化・微量化・効率化・高精度化に役立てることである。
研究方法
抗体医薬品、インターフェロン等をモデルとして用いた。
結果と考察
本年度は第一に、質量分析法(MS)、核磁気共鳴法(NMR)、及びデータベース等を活用した構造解析及び物理的化学的性質評価法について検討した。まず、一次構造確認試験として利用されているペプチドマッピングに、LC/MS/MSとデータベースを用いることによって、ピークパターン並びに、各ペプチドのアミノ酸配列及び単糖組成に基づく判定基準の設定が可能となること、また、不純物・類縁物質の同定が容易になることを確認した。また、糖鎖修飾の可能性を追加したデータベースを利用することによって、糖ペプチドの同定が可能になることを見出した。これらの技術を利用して、インフルエンザワクチン製造過程で見出されたトリプシンインヒビターがヒトSLPIホモログ新規タンパク質であることを明らかにした。さらに、cross link試薬修飾とペプチドマッピングにより高次構造を確認できること、18O-水中における脱アミド化とLC/MSによって、タンパク質性医薬品の分解物/類縁物質の構造解析が可能になることを見出した。また、安定同位体標識を施したIgGのNMR解析により、Fc領域の動的高次構造を明らかにすることに成功した。
第二に、リン酸化プロテオーム解析を基本とする生物学的性質評価法を検討した。PDGF刺激によるモデル実験を行い、リン酸化タンパク質の濃縮、2D-DIGE及びLC/MS/MSによるリン酸化タンパク質発現解析が、薬剤の作用機序解析、及び活性測定に有用であることが示唆された。
第三に、細胞基材評価法として、時間分解蛍光測定、及び蛍光共鳴エネルギー移動原理を応用した効率的組換えヒト抗体生産細胞選抜法、並びに糖転移酵素活性一斉測定を基本とした細胞糖鎖評価法を開発した。
結論
本研究で開発・改良した分析法は、バイオ医薬品の研究開発における特性解析、品質評価、品質管理に大いに役立つものであり、さらに今後、日本薬局方における試験法の整備等にも貢献できるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-06-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-