医薬品適正使用のためのヒト薬物動態評価法の開発と応用

文献情報

文献番号
200400890A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品適正使用のためのヒト薬物動態評価法の開発と応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
頭金 正博(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 昇(国立がんセンター中央病院)
  • 関口 金雄(ファイザー製薬)
  • 川合 良成(ノバルティスファーマ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品を適正に使用するためには、個別の患者での薬物動態に影響を与える因子を正確に評価することが必要になる。そこで、本研究課題においては、特定の患者集団等での薬物動態特性と背景因子との関係を調べることを目的とした。また、ヒト薬物代謝関連酵素遺伝子での一塩基置換による多型(SNPs)が薬物動態パラメーターに与える影響を評価することを目的として、薬物代謝酵素の遺伝子におけるSNPsと薬物動態パラメータに関する文献情報を網羅的に収集した。
研究方法
本研究における臨床研究はすべて各研究者が所属する研究機関に設置されている研究倫理委員会によって実施の許可を得ている。また、実験実施にあたっては被験者に十分な実験内容に関する説明をした後、文書による自発的な同意を得た。
結果と考察
(1)薬物代謝酵素の遺伝子多型が抗糖尿病薬グリメピリドの薬物動態に与える影響について検討した。グリメピリドは主にCYP2C9によって代謝不活性化される。そこで、2型糖尿病と診断されグリメピリドの処方を受けている患者のうち、CYP2C9*1/*3型被験者およびCYP2C9*1/*1型被験者での単回投与後の血漿中グルメピリド濃度を測定した。その結果、CYP2C9*1/*3型被験者のAUCはCYP2C9*1/*1型被験者の3倍程度に増加し、強い血糖低下作用がみられることがわかった。
(2)進行・再発非小細胞肺がんを対象としてゲフィチニブとドセタキセルの併用を行い、両薬剤併用による最大耐量,推奨用量,安全性,薬物動態,薬剤間相互作用,有効性,CYP3A4活性の変化などを検討する併用第Ⅰ相試験を実施中である。
(3)現在、多くの独立したグループにおいて、薬物代謝関連酵素に関するSNPsのデータが加速度的に蓄積している。そこで、本研究においては公表されているSNPsと薬物動態パラメーターとの関連を文献情報より評価するためのデータベースを作成する作業を行った。その過程で、多くの薬物代謝の過程に関与しているとされるCYP3A4については多数のSNPsが明らかにされているのにも関わらず、その薬物動態学的な意義付けがほとんどなされていないことがわかった。
結論
薬物動態の個人差に影響をあたえる因子を解析する上で特殊な背景因子をもった被験者集団を用いる臨床薬物動態試験が有用であると考えられた。また、薬物代謝酵素のSNPsに関する文献情報は数多く度見つかったが、薬物動態パラメーターとの関連を記述した論文は極めて乏しいことがわかった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-