患者個別化薬物治療のための遺伝子タイピング法及びメタボロミクス的手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400887A
報告書区分
総括
研究課題名
患者個別化薬物治療のための遺伝子タイピング法及びメタボロミクス的手法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 宝田 裕(東洋紡績㈱)
  • 森 篤雄(第一化学薬品㈱)
  • 丹羽 卓朗(三菱ウェルファーマ㈱)
  • 岩崎 一秀(ファイザー㈱)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品の有効性及び副作用発現に影響を及ぼす薬物代謝酵素等の遺伝子多型を機能解析により明らかにし、これらのタイピング系を開発すると共に、環境要因により変化する指標(バイオマーカー)から薬物動態の予測を行う手法も開発し、患者毎の薬物代謝酵素及等の活性予測法を確立する。
研究方法
遺伝子多型の機能解析は、異型細胞発現系を用いて野生型及び変異型酵素を発現し、インビトロで数種のモデル基質につき酵素活性測定を行った。タイピング系開発・評価は、4種の遺伝子につき、5種類の方法を用いて行った。また環境要因により発現が変化しやすいと考えられるCYP3Aの活性指標となるバイオマーカーを探索するため、まずモデル動物としてラットを用いて誘導剤による肝臓中のCYP3A発現量をRT-PCR法で測定した。
結果と考察
1) 遺伝子多型のインビトロ機能解析
CYP1A2では野生型及び変異型間でmRNA発現レベルの有意な差は認められなかったにも関わらず、蛋白発現レベルでは、変異型で有意な低下が認められた。また活性についても大幅な低下が認められた。またCYP3A4ではCYP3A4*16 蛋白質の発現量は野生型に比べて減少していた。活性測定の結果、基質により活性変化の程度が異なることが示唆された。
2) タイピング系開発・評価
ABCB1 では機能的に重要な12種の多型につき、スナップショット法によるタイピング系を開発した。CYP3A4 では対象とした4遺伝子多型につき、パイロシーケンシング法によりタイピング系を開発した。またアレル特異的プライマー-PCR法のタイピング系と比較したところ、両者の結果は完全に一致した。DPYDでは6種の多型につきSMMD法によるタイピング系の評価を行い、多型が正しく検出できることを確認した。さらにUGT1A1の*IB及び*60につき、インベーダー法によるタイピング系の条件検討を行い、多型が正しく検出できることを確認した。
3) バイオマーカー探索
誘導剤処理によりmRNA量は、CYP3A1で約40倍、CYP3A2で約5倍増加し、CYP3Aが誘導されていることを確認した。
結論
2種の遺伝子の多型につきインビトロ機能解析を行い、機能低下または機能影響の基質特異性を明らかにした。4種の遺伝子につき、タイピング系の開発・評価を行った。CYP3Aの活性指標と成り得る尿中バイオマーカーを探索するため基礎的検討を行った。

公開日・更新日

公開日
2005-05-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-